茶道具 翔雲堂


ひと口知識

※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。

煙管(きせる)ってこんなの

煙管は、カンボジア語の「クセル(たばこを喫煙する管)」が訛ったものだそうで、
スペイン語やポルトガル語の「キソルベル(吸う物)」という語から来たという説もあるとか。

煙管は、大きく三つの部品からできていて、
刻み煙草を詰める火皿に首のついた「雁首」、
口にくわえる部分の「吸い口」、
それらをつなぐ管の「羅宇(らう/らお)」
だそうです。


■煙管の材質
材質は、雁首と吸い口は、耐久性を持たせるために多くが金属製、
羅宇は竹が多いが、金属製のほか、高級品では黒檀などもあるようです。

使用される金属の種類は金・銀・銅・鉄・錫・亜鉛、またはそれらの合金などで、
メッキや象嵌を施したものもあるそうです。
また、全体が陶製やガラス製のものもあり、中には竹や木でできた簡易煙管もあるとか。

羅宇が植物性の煙管を「羅宇煙管」、全体が金属製の煙管を「延べ煙管」と呼ぶそうです。


■煙草の渡来と煙管
1543年から始まる南蛮貿易で嗜好品として「煙草」が渡来するそうで、
その当時は「葉タバコ」に「クレイパイプ」だったみたいです。
※クレイパイプに関しては、後述します。

当時の煙草は、薬としての意味合いが強かったようで、
「慶長6年(1601年)、ペインフランシスコ会修道士ヘロニモ・デ・ヘススが、
療養中の徳川家康にタバコ由来の薬とタバコの種子を献上したと」
という話があるみたいです。

16世紀後半、大店の主人や番頭等が自分にあった道具をあつらえた、
一種のファッションやステータスシンボルが、最初の「煙管」の形だったようです。

煙草入や煙管筒にも流行があり、
根付(紐で帯から吊るし持ち歩くときに用いた留め具)などの工芸文化もあったみたいです。

江戸時代の吉原等の大見世の太夫などの間では、位が上ると帯の幅が広くなり、
それに合せて帯に挿す煙管の赤塗りの羅宇も長くしたそうで、
煙管の長さで女郎の格をはかることができたのだとか。

江戸時代には、喧嘩煙管(武器)というものもあったようです。
総鉄製の煙管で、長さは40cm〜50cm、太さも数cmあり、
羅宇を六角形にしたり、羅宇全体にいぼをつけるなど、
棍棒さながらの加工がなされていたみたいです。


■茶道での煙管
ふつう竹の管である羅宇の両端に、金属製の雁首・吸口をつけたもので、
薄茶のとき座布団に続いて、莨盆に煙管を二本添え正客の前に持ち出されるのようです。
煙草盆の形によっては、煙管を一本添えることもあるそうで、
雁首を中へ落して掛け置くこともあるのだとか。

煙草を吸う場合は、正客は次客にすすめたのち、煙管を取り、
莨入から煙草を火皿につめ、火入の火で吸付けるみたいです。
また、吸い終われば、吸殻を灰吹に落とし、
懐紙を出して、吸口や雁首を清めるそうです。

次客も正客のすすめに従いもう一本の煙管に煙草をつめ同様にし、
煙管二本を元のように莨盆にのせ、三客、四客へ送るようです。

煙管の好み物では、
表千家は、
七世如心斎好:筋、
十世吸江斎好:筋、
十一世碌々斎好:唐草彫、
十二世惺斎好:亀甲、
十三世即中斎好:筋、
十四世而妙斎好:筋、

裏千家は、
十世認得斎好:夕顔彫、
十一世玄々斎好:筋、うぐいす張
十三世円能斎:巻々張、
十四世淡々斎好:銀杏彫、

武者小路千家は、
十一世一指斎好:吉祥草彫
などのようです。


■煙管の吸い方
まず、刻みたばこをつまみ、指で直径10mmほどに丸めるようです。
ここで、固く丸めてしまうと、空気が入りづらくなるので
「固すぎず、緩すぎず」を意識するのだそうです。

次に、雁首に軽く押さえて入れます。
ここも、押さえすぎると吸いづらくなるので注意だそうです。

準備ができたら吸い口をくわえ、雁首から少し離した
「遠火」で着火するみたいです。
ここでは、通常の紙巻きのような吸引力で吸わないよう注意だそうです。
わずか三服で終わってしまうようなものなので一気に燃え尽き、
煙の量も多くなってしまうのだとか。
イメージ的には、スプーンで熱いスープを「すする」感覚のようです。

約三服したところで終了。
さらに吸い続けると燃えカス(灰)が、口内に入ってくる恐れがあるそうです。

吸い終わったら灰皿などに「煙管を"コン"」とはせず、
遠心力で振り落とすか、キセルを持った手と、
反対の手で叩くように灰を落とすそうです。
「煙管を"コン"」とすると、煙管が傷むそうです。


■ホームズのパイプ
個人的に大好きな名探偵ホームズ。
トレードマークのパイプは「キャラバッシュ」というパイプだそうです。

パイプは、南北アメリカのインディアン民族が行っている「パイプによる喫煙」が
新大陸発見のおり、ヨーロッパから渡来した者たちに伝えられたのが始まりのようです。

この喫煙具の発掘物は紀元前にさかのぼるそうで、
細長い筒状の喫煙具を使うものだったそうです。
また、1519年にエルナン・コルテスが接触したアステカ族が、
パイプによる喫煙を行っていたみたいです。

アメリカ合衆国のインディアンは、パイプにつめる煙草の葉に、
黄ハゼの葉・クマコケモモ・柳の樹皮・「キニキニック」という薬草、
などを混ぜて香りをつけるようです。
パイプはパイプバッグと呼ばれる特別な包みで、大切に保管されるそうで、
これらは現在も変わらないとか。

インディアンたちのパイプは宗教道具としての意味が強く、
あらゆる儀式には必ずパイプの回し飲みが行われ、
また重要な事柄に取り掛かる前にも、
必ず準備段階としてパイプが使われるそうです。

スペインから欧州に広がる過程では、
当初こそ現地の喫煙具(クレイパイプ)が、そのまま利用されていたものが、
次第に各地で独自の喫煙具が制作されるようになったそうです。

ただ、クレイパイプは破損しやすく長期的な利用が困難という欠点があったようです。

18世紀〜19世紀にかけて、オスマン帝国で、
メシャム(セピオライト)の原石が産出されるようになると、
美しい造型に加工された「メシャムパイプ」が流行し、
パイプの女王と称されるようになったようです。

19世紀後半、イタリア領コルシカ島などで、
ブライヤが特産品として産出されるようになると、
ブライヤパイプが急速に普及し始め、
瞬く間にパイプ材の主流となっていき現在に至っているそうです。

このブライヤパイプ、外見の違いが多数あるのも特徴的だそうで、
吸い口から一旦落ちて煙道が伸び火皿に至る「ベント」、
ストレートで扱い易い万人向けの「ビリアード」、
ストレートながら火皿が丸っこい「アップル」、
ベント型の煙道にそろばんの玉のような形の火皿を持つ「ローデシアン」、
ストレートに近いがやや無骨で寸詰まりな「ブルドッグ」、
優美に長い煙道を持つ「チャーチワーデン」
などがあるそうです。

現在、パイプの材質として使われているのは、ブライヤ・メシャム・
クレイ・キャラバッシュ・コーンコブ・オリーブのほか、
プラスチック・琥珀・象牙などもあるそうです。

シャーロック・ホームズが愛用する、印象的なキャラバッシュのベント型パイプは、
原作には登場しないそうです。
原作でのホームズは、クレイ・パイプ、ブライヤー・パイプを愛用しつつ、
紙巻き煙草も賞賛しながら「おかわり」するなど、
別にパイプに拘っている訳ではない描写も登場するのだとか。

これは、舞台で最も成功したと言われるホームズ俳優のウィリアム・ジレットが
長丁場の台詞回しの間、ベント型で軽いキャラバッシュが、
咥え続け易いとして選んだ結果のようです。

ですが、インバネスコートに鹿撃ち帽という服装に
キャラバッシュをくわえた、スイスのマイリンゲンにあるホームズ像
のようなホームズが一番好きかな・・・。

さて、日本では、西欧文明が急速に流入した明治・大正期に
パイプが入ってくるそうですが、すでに類似する煙管がある事や、
紙巻煙草が普及した事などからパイプはあまり普及しなかったようです。


■煙管の文献
『目ざまし草』に
「盆の前に煙管を二本おくは、香箸のかはりなりとぞ。」
とあるようです。

稲垣休叟著『茶道筌蹄』に
「鼠屋形 唐より渡りたるま丶の形を写す」
「筋 如心斎このみ」
「書院 了々斎このみ、鼠屋よりふとし」
とあるのだとか。

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