茶道具 翔雲堂
ひと口知識
※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。
なお、一部の作品、販売しています。
硯箱ってこんなの
硯箱は、硯の他に筆・墨・水滴・小刀・尺・暦その他を納めることもあるそうです。
種類として、「平硯箱」「重硯箱」「浅硯箱」があるみたいです。、
裏梨子地・表蒔絵・螺鈿・描金などが施されることもあり、
文台と連作になる場合もあるようです。
日本では平安時代から作られ、使用されるようになったようです。
硯箱の黄金時代は室町時代だそうで、平安・鎌倉時代と比べ、
室町時代に作られた硯箱は数多く現代に伝わっているのだとか。
室町時代に制作された硯箱には『古今和歌集』や『源氏物語』といった
日本の文学が蒔絵を駆使して表現されているそうです。
同時代の漆工芸品と比べても質が高く、高い評価を得ている作品が多くあるようです。
たとえば、切手に「第3次国宝1集 八橋蒔絵螺鈿硯箱」などがありますよね。
国宝、重要文化財の一部を挙げると以下のようなものがあるみたいです。
国宝
・
舟橋蒔絵硯箱
(17世紀・東京国立博物館蔵)
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八橋蒔絵螺鈿硯箱
:尾形光琳作(18世紀・東京国立博物館蔵)
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胡蝶蒔絵掛硯箱
(17世紀・徳川美術館蔵)
重要文化財
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嵯峨山蒔絵硯箱
(15〜16世紀・根津身術館蔵)
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男山蒔絵硯箱
(15世紀・東京国立博物館蔵)
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塩山蒔絵硯箱
(15世紀・京都国立博物館蔵)
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塩山蒔絵硯箱
:木製漆塗(15世紀・東京国立博物館蔵)
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蓬莱山蒔絵硯箱
(15世紀・京都国立博物館蔵)
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砧蒔絵硯箱
(16世紀・東京国立博物館蔵)
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初瀬山蒔絵硯箱
(16世紀・東京国立博物館蔵)
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柴垣蔦蒔絵硯箱
:古満休意作(17世紀・東京国立博物館蔵)
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蔦細道蒔絵文台硯箱
:田付長兵衛作(17世紀・東京国立博物館蔵)
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御所車蒔絵硯箱
(17世紀・東京国立博物館蔵)
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芦舟蒔絵硯箱
:伝本阿弥光悦作(17世紀・東京国立博物館蔵)
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舞楽蒔絵硯箱
:本阿弥光悦作(17世紀・東京国立博物館蔵)
・
比良山蒔絵硯箱
:塩見政誠作(18世紀・東京国立博物館蔵)
伊丹の小西酒造に伝わる茶道資料『七事 凌雲帳 風の巻』(表千家)に
「茶かぶきに必要なる道具は、茶かぶき棗、棗盆(なつめぼん)、
緋大袱紗(ひおほふくさ)、看板板(かんばんいた)、折居、名乘札、
小奉書(こぼうしよう)一帖(ぢやう)硯箱等なり。」
と記載されているようです。
裏千家でも、唱和之式で
「亭主が正客に重硯箱を運び出し、干菓子器を水屋に引いて、末席に座り、
重硯箱を回し、連客それぞれ墨をすり、懐中した短冊を出して、
自分が最初に生けた花にちなんで和歌をしたためる。」
といった所作があるようです。
紫式部著『源氏物語 野分』より
「紙一巻(ひとまき)、
御硯(すずり)
の蓋(ふた)にとりおろし奉れば」
意味は、
「紙一巻を
御硯箱
のふたに取って下に置き(夕霧に)さしあげると。」
となるようです。
この前後の文章は、以下のようになっているみたいです。
夕霧が
「良いものでなくて構わないんですが、
手紙が書ける紙がありませんか。
それとあなたたちの
硯
を貸していただけませんか」
と頼むと、明石の姫の御厨子から紙一巻を侍女たちが、
硯箱
の蓋に載せて差し出したものだから、
「いや、こんな良いもので無くて良いのに」
と言ったけれど、明石の姫の母の身分を思えば、
何も遠慮することはないと気づき、
気安く手紙を書き始めた。
吉田兼好著『徒然草』の序段に、
「つれぐなるまゝに、日ぐらし
硯
にむかひて、
心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、
あやしうこそものぐるほしけれ。」
とあるようです。
作品名:五段重硯箱(桑)
備考:紙箱入
※画像を押すと拡大できます。
香道具の五段重硯箱は、手記録紙に答えを書くための筆記用具セットの入った重箱で、
通常それぞれの箱に「硯・筆・水滴・墨」が付いるそうです。
現在では、筆ペンを持参するのが一般的で、平易な香席ではあまり見受けられなくなったのだとか。
ちなみに志野流で用いる記紙を集める際に使用する重硯箱は、記紙台(きがみだい)というみたいです。