茶道具 翔雲堂
ひと口知識
※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。
楊枝(楊子)ってこんなの
楊枝を初めて使ったのはネアンデルタール人で、およそ10万年前だそうです。
歯の化石に縦の筋が見られるそうで、堅い楊枝で歯をこすった跡だと推測されているとか。
楊枝は奈良時代に仏教と共にインドから中国・朝群半島を経て日本に伝わったみたいです。
当時は歯木(しぼく)と呼ばれ、木の枝の一端を噛んで毛筆の毛先状にしたものなのだとか。
紀元前500年頃、釈尊(仏様)が、弟子達に歯本で歯を清潔にすることを教えたそうです。
インドではニームという木の枝を用いたとのこと。
中国にはこの木がないため、代わりに楊柳(ようりゅう)を用いたみたいです。
楊枝の名はここから名付けられたそうです。
■日本の楊枝
日本では、初め僧侶に取り入れられ、
平安時代に一部上流社会に伝わり、平安末期には庶民に伝わったようです。
室町時代の「田植え歌」に
「けふの田主はかねのようじをくわえた」
「楊枝木には南天竺のびわの木」
などの言葉が出てくるとか。
江戸時代には「房楊枝」と呼ばれ庶民にも拡がったようです。
「房楊枝」というのは、一方を房上にし、もう一方の先を鋭くして用いたもので、
この先の鋭くした方を爪先でつまむようじという意味で「つまようじ」になったみたいです。
「房楊枝」は、日本での歯ブラシの原形でしたが、
明治時代初めにアメリカから歯ブラシ入るとその姿を消すようです。
日本製の歯ブラシは、明治5年頃、大阪で、鯨髭に馬毛を植えた楊枝を製造されたのが最初だそうです。
当時「鯨楊枝」の名称をつけて大阪市内の小物屋で販売されたみたいです。
僧侶が常に身につけておくべき「十八物」の第一番にあげられているのが楊枝だそうです。
口をすすぎ身を清めることが信仰者の心得のようです。
現在も、京都の三十三間堂では毎年1月15日に「楊枝のお加持大法要」が、
浅草寺では6月18日に「楊枝浄水加持会」が営まれるみたいです。
ちなみに「十八物」というのは、
「楊枝・澡豆(そうず)・三衣・瓶・鉢・坐具・錫杖・香炉・漉水嚢・手巾・刀子(とうす)・
火燧(かすい)・鑷子(にょうす)・縄床・経・律・仏像・菩薩像」
のことだそうです。
■ヨーロッパでの楊枝
他方、ヨーロッパでは食生活の関係で、多くは金属製の「つまようじ」が使われたそうです。
特に、中世ヨーロッパでは、貴族は金や銀の釣り針状の「つまようじ」に宝石等の細工をさせ、
それをネックレスとしていつも首にかけていたとのこと。
また、テーブルセットにスプーン・フォーク・ナイフと共に「つまようじ」も加えられていたようです。
■材質
「つまようじ」の原材料「白樺」は、柔らか過ぎて家具・建材には不向きだそうで、
「つまようじ」「割り箸」以外はチップ(紙の原料)にしかならないみたいです。
白樺は「痩せた土地に強い」「成長が早い」といった特徴があり、
価格的に安く、変な味や臭いもなく、色も白いといった「つまようじ」には最適素材なため、
ヨーロッパでもほとんどは白樺製なんだそうです。
木以外の素材としては、合成樹脂・竹・象牙・ステンレスなどがあるようで、
中には「水鳥の羽根」「まぐろの尾びれ」「鼈甲(べっこう)」などもあるとか。
■製作工程
白樺材から「つまようじ」なる製作工程は以下のようになるそうです。
@丸太の樹皮剥ぎ
A寸法切り
B煮沸
C剥ぎ
D短板切断
E乾燥
F丸軸加工
G選別→丸軸完成
H丸軸切断
I先端の切削
■黒文字
さて、黒文字は、樹皮付きで角型の大振りな楊枝が用いられる事が多いそうで、
一本ずつ紙製の鞘がついているものもあるみたいです。
先端部はややへら状に薄くなっている場合もあるとか。
製作工程は黒文字の原木を一定の厚みと幅にし、楊枝の長さに揃えた後、先を削って完成となるようです。
■文献
藤原師輔著『九条殿遺誡』に
「朝に楊枝を使って口を漱ぎ顔を洗うことを日常の作法として行うこと」
とあるようです。