茶道具 翔雲堂
ひと口知識
※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。
セーブル焼ってこんなの
セーブル焼は豊かな彩色を駆使した、
ロココ様式の絵画表現による装飾が最大の特徴だそうです。
とても値段が高い磁器なのだとか。
年間の生産量が少ないため、
「幻の陶磁器」とも呼ばれているようです。
セーブル焼の技術は、後にリモージュへと渡り、
リモージュ焼として量産磁器が普及するみたいです。
■セーブル焼の歴史
セーブル焼は、マイセン焼の技師だったデュポア兄弟が、
当時のフランスの大蔵大臣オリー・ド・フリビーに招かれ、
1738年、パリの東端に位置するヴァンセンヌに、
窯を構えたのが始まりのようです。
1750年にルイ十五世の公妾ポンパドゥール夫人の援助を受け、
王家ご用達ヴァンセンヌ窯が「王立製陶所」となるようです。
1756年、パリとヴェルサイユの中間に位置するセーブルの町に移って、
王立窯(セーブル窯)となったのだとか。
18世紀初頭、磁器作成に欠かせない土「カオリン」をドイツが発掘し、
マイセンが磁器を作るそうです。
その後、フランスはカオリン探しを始め、
1766年にリモージュの近くで発見するようです。
カオリンはセーブルに運ばれ、王立製造所として磁器を作り始めるようです。
当初、フランスでは軟質磁器が作られていたそうですが、
カオリン鉱床が発見されたのを受け、
1796年には、硬質磁器も作られたようです。
※軟質磁器・硬質磁器は後述します。
現在、ポンパドゥール夫人のために建てられた広い城館を改造したフランス国立陶芸美術館が、
トラム(路面電車)のセーブル駅のすぐそばにあるそうで、
ここでセーブル焼をはじめ数々の磁器を鑑賞することが出来るのだとか。
セーブル焼の製造量は、年間6000ピース前後だそうで
そのうちカップ&ソーサーやプレートなどは2000〜3000ピースなのだそうです。
これは、一年間カップ&ソーサーだけを制作しても、
一日当たりの生産量は三客にも満たないということになるみたいです。
多くは国家機関が使う品や外国への贈答品として使われるようです。
■フランス国立陶芸美術館
博物館創設のきっかけは1800年、
地質学者・鉱物学者で、内務大臣だったアレクサンドル・ブロンニャールが、
セーブル国立磁器製造所の所長に就任したことだったようです。
ルイ十六世が、製造所に与えたイタリアの古い壷のコレクションや、
18世紀の素焼きの人形などに加え、
ブロンニャール自身が旅をして求めたりして収蔵品を増やしたそうです。
1824年に正式に美術館として開館し、
1934年には国立となり、約五万点の陶磁作品を集める専門美術館となったみたいです。
セーブル焼のコーナーは入口の大壷に向かって右側にあるようです。
博物館に2,000点ほど収蔵されているとのこと。
中には、マリー・アントワネットの乳房をかたどったといわれるミルク・ボールや、
ナポレオンが島流しにあった時も離さなかったと伝えられる緑と金彩の食器もあるとか。
セーブル焼の名品としては、「王者の青」「クラウテッドブルー」「アガサブルー」
などがあるようです。
■軟質磁器
軟質磁器(軟磁器)は、磁器化温度が低く軟らかいものを指すそうです。
素地はフリット質を多く含み、透明性が高いようです。
当時、ポンパドール夫人が好んだというセレストという青緑の色は、
軟質磁器でしか表すことができなかったみたいです。
1200℃前後の低温で焼成でき、透光性に優れるようですが、
焼成中に変形しやすいという欠点があるのだとか。
16世紀末からフランスやベルギーで作られたフリット磁器は、
セーブルでは19世紀頃から作られたみたいです。
今日、変形の制御が困難なことからあまり作られていないそうですが、
フランスのセーブル磁器、イギリスのボーンチャイナ(磁器)などは、
現在でも生産しているようです。
■硬質磁器
硬質磁器(硬磁器)は、軟質磁器以外の磁器の総称だそうです。
硬質磁器は、1300℃以上で焼成される「高火度磁器」と、
それ以下で焼成される「低火度磁器」に分類される場合もあるとか。
「高火度磁器」の代表例は、ベルリン王立磁器製陶所(KPM)で作られた
ベルリン磁器だそうです。
KPMは、1763年9月19日にフリードリッヒ大王によって創立され、
製品マークは、選帝侯ブランデンブルクの紋章からきている、
「コバルトブルーの王の笏」がすべての製品に付けられてるようです。
■セーブル焼の青色
ポンパドールピンクなど、数千種類の絵具があるそうですが、
代表的な青色の説明をしようと思います。
「クラウデッドブルー」
雲状ぼかしのコバルトブルーでセーブルでもっとも古いブルーの技法だそうです。
フランス語表現でブルーニュアージュとも呼ばれるようで、
洋食器の創美でもブルーニュアージュが通称となっているのだとか。
コバルトを彩色・焼成したあと、
再びコバルト絵の具で彩色し、
こすり職人・たたき職人がその絵の具を焼成前にこすり取ることで、
深遠なぼかしを表現するようです。
ぼかし表現を変えた、ブルーラピスラズリという地色もあるのだとか。
「ファットブルー」
コバルト焼成を三回繰り返すことで、
深みのある均一なコバルト地を作り出すようです。
通称、王者の青と呼ばれるのだとか。
「アガサブルー」
わずかな「むら文様」による深みが出ているブルーで、
もっとも繊細な技術が必要とされるセーブル焼だそうです。
焼成温度や時間、窯での配置で微妙な影響があるようで、
完全に同じ発色にはならないみたいです。
非常に高価で、カップ&ソーサーの一組が
少なくとも数十万円はするようです。
■セーブル焼の形
セーブル焼には、代表的な形(シェイプ)があるようです。
ここでは、その一部を紹介しようと思います。
「リトロン」
ポットの容量が1リッターだったことから命名された筒型で、
1700年代の伝統的なシェイプだそうです。
「オボイード」
カップが卵型の美しい曲面のフォルムで、
1820年頃のデザインみたいです。
「ペイール」
竹、樹木を表現した、日本や中国への影響を受けたシェイプで、
1845年デザインのようです。
ペイールとは、デザイナーの名前だとか。
「カラーブル」
ハンドルが人の耳のような形のもので、
1700年代半ばのデザインだそうです。
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