読み:ちゃしゃく 作品名:銘入茶杓 作者:桂堂(瑞峰院前住職) 売り切れ 銘:豊兆 詳細はこちらから |
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茶杓の色が、落ち着いていて、使い込むめば使い込むほど良くなると思われます。
全体の茶杓の形は美しく、特に櫂先が目を惹きます。 豊兆は「雪豊年兆」(雪が多く降るのは豊年の前兆であること。)から来ているようです。 「新しき年の初めに豊の年しるすとならし雪の降れるは」(万葉集)があります。 雪見の茶事で、松風の音が静かに聞こえる中、 茶室からふと外を見ると、雪がしんしんと降っている。 戦後の経済成長と共に、人々は豊さを手に入れていきました。 ただ、心の豊かさは、徐々に失われていったのではないでしょうか。 「報恩」という言葉があります。 親・兄弟に対し、恩に報いるという意味ですが、 いつの間にか、使われなくなって久しいと思います。 茶室から見る雪は、心の豊かさを彷彿とさせる兆しへと、 「豊兆」の茶杓を使った点前で、温かな抹茶を飲みながら 古き良き時代を懐かしむ時間となれば、良いですね。 吉田桂堂大徳寺瑞峯院 前住職。 |