茶道具 翔雲堂

ちょこっと和歌

逢ひ見ての 後の心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり (権中納言敦忠『拾遺集』恋2・710)


商品No.0442
作品名:金地源氏車平棗
作者:一后一兆
売り切れ
備考:桐箱入二重箱/
少し小さめの平棗です。
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画像1:内側の写真
「流れ源氏車文様」は、片輪車文様のことで、
草花や流水との組み合わせが多い文様だそうです。

平安の昔、牛車の車輪は木でできていて、
何日も使用しないでいると、乾燥して割れたり、
ひびが入ったりする恐れがあるため、
車輪だけ外して、川の流れに浸し置いたようです。
この光景を文様にしたものみたいです。

歴史物語『水鏡』の序文、仙人の言葉に
「さてはこの世の有様のみならず、
 内典の方なども疎くこそはおはすらめ。端々を申さん。
 生死は車の輪の如くにして
 始まりては終り、終りては始まり、
 何時を初め、何時を終りといふ事あるべからず。云々。」
とあるそうです。

輪廻転生を示したこの文章と
源氏全盛の鎌倉時代初期に書かれたこの本から、
私は、「源氏」と「車」という二つのキーワードを結び付ける糸口が、
見いだせるのではないかと思います。

「輪」という漢字は、「車」に「侖」と書くのですが、
この「侖」には、「一連になり丸くまとめたもの」
「順序を追って連なりまとめたもの」という意味があるそうです。

仏法用語「輪廻」は、人が何度も転生しする様を指すのですが、
生命が無限に転生を繰り返すさまを、
輪を描いて元に戻る車輪の軌跡に喩えたことからも来ているそうです。

その後、栄華を誇った源氏は、北条家に滅亡させられます。

 祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす

『水鏡』と同時期に書かれた軍記物語『平家物語』は、
目の見えない琵琶法師によって語り継がれます。

鎌倉時代を象徴する歌として、
 しづやしづ しづのをだまき くり返し
 昔を今に なすよしもがな(『吾妻鏡』静御前)
が、思い起こされます。

川に置かれる源氏車の車輪は、当時の人々にとって、
一つの時代を象徴した、後世に残すべき光景だったのかもしれません。




画像2:側面の写真
画像3:裏側


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