茶道具 翔雲堂


ひと口知識

※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。

訶梨勒ってこんなの

訶梨勒(かりろく)は、日本では、始め、訶梨勒の乾果そのものや、
銅・象牙で形を模したものを邪気払いとして柱にかけていたようです。
当時のものが、正倉院御物に鑑真和上が当時もたらしたといわれる
「かりろくの実」として、一つ残されているそうです。

3000年もの昔から、声ガレや胃腸薬としての薬効が知られていたようで、
「釈迦が涅槃に入ったことを知った釈迦の母(麻耶夫人)が、
天上から駆けつけ、袋に入れた訶梨勒の実を投げるも、
沙羅双樹の木に引っかかり届かず」
という涅槃図で、薬を届けようとする姿が描かれているそうです。

また、煎じ液には強い抗菌作用もあるみたいです。
近年では、訶梨勒といくつかの漢方を混ぜた「WTTC」という薬に、
抗ガン作用があるとの報告もあるとか。

中国には仏教と共にインドから伝来したようで、
唐代の書物『新修本草』に「訶黎勒」と記載されているそうです。


■訶梨勒の成分など
本来はインドの伝承医学アーユルヴェーダの主要な薬物で、
漢方では止咳・止瀉・利咽の効能があるそうです。

解毒作用のあるタンニンを多く含むようで、
タンニンの成分としてケブリン酸など、
関連ポリフェノールとしてエラグ酸などが含まれているのだとか。

煎液には抗菌作用があり、ブドウ球菌・チフス菌などに効くみたいです。
エキスは抗ウイルス作用があるようで、単純ヘルペスウイルスに効くようです。

WTTCには抗ガン作用があるようで、「藤瘤・訶梨勒・菱実・よく苡仁」の、
四種類の生薬を組み合わせた生薬製剤を、
各10g〜15gを一緒に煎じて用いるみたいです。
WTTCは、それぞれの植物学名の頭文字をとったものだそうです。


■室町時代の訶梨勒
室町時代には、美しい緞子や綾絹の袋に、
五色の糸(青[せい]黄赤[おうせき]白黒[びゃっこく])で結ばれた、
十二個のかりろくの実を納めるようになるみたいです。
東山山荘に掛けられたといわれる足利義政好は、
長い五色の緒を飾り結びで垂らしてあるそうです。

足利義政に仕えた同朋衆の著『御餝書(おかざりしょ)』に
「一かりろくとて柱飾なり」
とあるようです。


■訶梨勒の文献
『貞丈雑記第六』に
「出陣の時、カリロクを呑むこと『旧記』に在り
これは訶梨勒丸と言う薬なり。
一名を訶子とも言ふ薬種なり。
訶子は胸の中に結ばれたる気を破る能あり。
出陣は生死の定むる所にてある故、
身の行く末を思い妻子などを思い心気むすぼるる故、
その薬を用ゆる成るべし。」
とあるそうです。

『貞丈雑記第四 座鋪飾の部』に
「かりろくの事1[東山殿御飾書]にかりろくと言う物ありて、
かたちかくの如くなり。
乃至、柱にかけて置く物なるべし。
柱飾りも、かりろくも、薬などを入るる物かと思わるるなり。」
とあるみたいです。

『和漢三才図会』の喬木類に
「腸壁)・久泄赤白痢を治す。
痰を消し、気を下ろし、食をよくかして大腸を充実させる。」
とあるとか。

『類聚雑要抄』にも『和漢三才図会』と類似した記載があるようです。



作品名:訶梨勒
作者:永豊
備考:木箱入

訶梨勒
※画像を押すと拡大できます。
訶梨勒は、梵語だそうで、
インド・東南アジア産のシクンシ科の落葉高木が訶梨勒というみたいです。
樹高は20〜30mに達し、果実は3〜4cmで卵形をし、中に大きな核があるのだとか。
果実は薬用として水毒を解くということから、
乾燥させた果実や模製が茶席の飾りにされたようです。
室町時代には、訶梨勒の実の芳香が好まれたそうです。

銅や象牙で訶梨勒の形をかたどったものを帛糸(きんし)で飾ったものが、
東山山荘の柱飾りとされたことが伝えられ、
後に錦の袋に入れて色緒で飾ったものを茶席の床柱に飾るようになったのだとか。



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