茶道具 翔雲堂


ひと口知識

※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。

床の間(床)ってこんなの

南北朝時代に付書院や違い棚とともに造られ始めた「押板(おしいた)」。
これは、掛け軸をかける壁に置物や陶器などを展示する机を併合させたものだそうで、
その後、近世の茶室建築に造られた「上段」となり、「床の間」となったようです。

床の間は近世初期の「書院造」「数寄屋風書院」をもって完成とされるみたいです。


■書院造について
「書院造」は、1236年に執権北条泰時が将軍の御成のために「寝殿」を建て、
その孫の北条時頼の代には、武家住宅の本来の客間であった出居(デイ)が発展して、
寝殿に代わり御成にも使用できる出居が生まれたそうです。
その主室は「座敷」と呼ばれる建築様式であり、これが「書院造」の原型とされるみたいです。

ちなみに、出居(デイ)というのは、客と応対のために出ている間という意味だそうで、
「デー、デェイ、デェサ、デコ」などとも呼ばれるとか。

鎌倉後期から南北朝期になると、
座敷は主殿や会所とよばれる「書院造」の初期の建物を形成することになり、
「書院造」の住宅様式が成立したようです。

座敷に設けられる「付書院」や「違い棚」なども南北朝時代以前に生まれているそうで、
「出文机(だしふづくえ)」が、南北朝時代に飾り棚として用いられるようになり、
「書院」と呼ばれるようになったのだとか。

ちなみに、出文机(だしふづくえ)というのは、禅僧が書を読むために室内からはり出し、
出窓のように付けられた机のことで、机の背後に明かり障子などを設けたのだそうです。

以降、室町時代(北山文化)には、客間として用いられた「会所(かいしょ)」などに座敷飾りが造られるようになり、
室町時代後期には、押板や棚、書院を備える座敷が一般的になり、書院造の形式がより整えられていったそうです。

近世、織田信長の安土城、豊臣秀吉の大坂城や聚楽第の御殿の壁や襖障子には、
狩野派の絵師により金碧濃彩の障壁画が描かれ、権力者の威勢を示すものとなったみたいです。

江戸時代には室町中期に発生した茶室建築に書院造の要素を取り入れた「数奇屋風書院造」が造り出されたようです。
庶民の有力者の家なども、書院造の要素である長押や、床の間、書院などの座敷飾りが取り入れられたそうです。

明治以降、一般庶民の住宅にも取り入れられたそうですが、
床の間のある座敷は一種特別な部屋で、家主の家族であっても普段は立ち入れない場所だったみたいです。


■床(とこ)について
床(とこ)は、床柱(とこばしら)を立て、足元に床框(とこがまち)、上部に落掛(おとしがけ)を設け、
床(ゆか)部分には畳が敷かれる「本床」という形をとるそうです。

武野紹鴎は、茶室の壁を土壁にしたのですが、
床の中だけは張付壁(紙貼り)を慣わしとしていたものを、
千利休が床の壁も土壁に改めたそうです。

また、以前は一間床が普通だったのですが、 千利休の子の千道安が台目床を作り、
草庵の茶室では一間床より幅の狭い台目床、四尺床が小間の通例となり、
床柱や床框にも丸太類が用いられるようになるみたいです。

近世、有力者の館や城の広間、有力者の家臣が、
仕える主人を迎え入れるため邸宅の客間に座敷飾りが造られ、
その一部が、絵画や観賞用の置物などを展示する空間「床(とこ)」として採用されるようです。
主人のいる上段に装飾を施した床の間などの座敷飾りを造り、主人の権威を演出したのだとか。

江戸時代には、庄屋などの一部の庶民の住宅において領主や代官など、
家主よりも身分の高い客を迎え入れるために床の間などの座敷飾りが造られるそうです。

明治時代以降になると、都市部の庶民の客間にも床の間が一般化するようになるみたいです。
現在では、掛け軸をかける習慣が衰え、畳の部屋でも床の間を省略することも多いようです。


■床の間の種類について
現在、床の間として造ってもらえるのは、本床(書院造、数寄屋風書院)以外にも、
円弧、釣床、置床、木床、壁床(織部床)、小間織部床、洞床、塗回し床、龕破床、原叟床、
円形窓の床、上段床、踏込床、蹴込床、室床、琵琶床(達磨床)、袋床のほか、
現代風のモダンな床もあるそうです。

ここでは、その一部を以下に説明しようと思います。
床の種類内容
釣床
(つりどこ)
天上から吊束を下げ、これに落し掛けを掛けたもの。
置床
(おきどこ)
壁の前に板や台を置いた床。
壁床(織部床) 天井の回縁の下に幅15〜18cmほどの化粧板をつけ、
そこに折釘を打って、掛物を掛けるようにしたもの。
古田織部が好んだことから、織部床ともいう。
洞床
(ほらどこ)
床の間の壁三面、天上全部を塗壁仕上げとし、
角に丸みを付けた床。
床柱、床框、落し掛けは丸太・竹など。
塗回し床 洞床の落し掛けも塗り込んだ仕上げの床。
龕破床
(がんわりどこ)
洞床の袖壁を左右両側につけた床。
龕とは仏様の厨子のことで、
それが破れたような形の床という意味。
原叟床
(げんそうどこ)
一畳大の地板の上に、床柱を立て落掛を入れた床。
表千家六世原叟宗左の考案した床。
踏込床
(ふみこみどこ)
床框がなく、床と室内の畳の高さと同じ平面に、
板または畳を敷き込んだ床。
蹴込床
(けこみどこ)
床框をつけず、床板の小口を表して、
そこから八分ほど入ったところに蹴込板をはめこんだ床。
蹴込板の代わりに丸太や竹などを使ったものもある。
室床
(むろどこ)
床の内側の隅の柱を見せないないよう、
天井まで土壁で塗りまわした床。
琵琶床(達磨床) 書院に接し床框から約15cm高いところに
四角い板を束に乗せた床。
達磨床ともいう。
袋床 正面片方か両面点前に袖壁をつけた床。
(おしゃれな座敷向きなんだとか。)



■釘の種類
ここでは、掛物や花入を掛ける折釘について説明しようかと思います。
釘の種類内容
軸釘
(じくくぎ)
掛物を掛けるための釘。
花釘
(はなくぎ)
床柱に打つ、掛花入を掛けるための釘。
中釘/向釘/無双釘
(なかくぎ/
むこうくぎ/
むそうくぎ)
床の奥正面の壁の中央に打つ、掛花入を掛けるための釘。
使用しない時には折釘の部分が壁の中に納るように、
折釘が出し入れできる構造。
花蛭釘
(はなひるくぎ)
床の間の天井に打つ、釣花入を吊るすための釘。
柳釘/隅打釘
(やなぎくに/
すみうちくぎ)
床の入隅柱に打つ、結び柳を入れる青竹の花入を掛けるための釘。
喚鐘釘
(かんしょうくぎ)
琵琶床などの天井打つ、喚鐘を吊るすための釘。



■茶の文献など
立花実山著『南方録』に
「四畳半座敷は珠光の作事也。
真座敷とて鳥子紙の白張付、
杉板のふちなし天井、小板ふき、宝形造、一間床なり。」
とあるそうです。

久須見疎安著『茶話指月集』に
「床を四尺三寸に縮めたるは道安にてありしが、
休のよしとおもいけるにや、その通りにしつる也。」
とあるようです。

近松茂矩著『茶窓陂b』に
「紹鴎が四畳半は一間床なり、
道安四尺三寸にちゞめし床を休師見て、
是は一段よしとて、其後四畳半を建し時に、
四尺三寸の床になせしより、
今も多くはこれにしたがえりとなん」
とあるみたいです。
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