茶道具 翔雲堂
ひと口知識
※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。
鶯針(うぐいす/うぐいすばり)ってこんなの
香道の鶯は、長さ10cm程の、両端が細く尖った銀製の畳針で、
一方を畳の目に前傾させて差し、もう一方に使用済みの本香包みを水平に刺して、
本香から記録までの間、本稿包みを保管しておくのに使うそうです。
このような景色が、見た目にも枝に留まる鶯のように見え、
『続後拾遺集』に
「あかなくに 折れるばかりぞ 梅の花 香をたづねてぞ 鶯の鳴く」
とあるのに因んで香をとめる針を鶯と名付けたのだとか。
古式には「火串(ひぐし)」とも呼ばれたそうです。
さて、茶道の鶯針の場合、茶箱の「月点前」に使うのですが、
香道の鶯より小さく、長さ3cm程のU字型の針みたいです。
器据(きずえ)にある小さな穴に、鶯針を突き刺して茶筅を立て、
多少風が吹いても倒れないようになっているとか。
月点前は、花点前=春、卯の花点前=夏 、月点前=秋、雪点前=冬、
と対応させた場合の、秋の季伝物点前だそうです。
裏千家十一代玄々斎が創案したもので、
香合も茶箱に仕組み、香をたくなど、茶箱点前中で最も美しい点前なんだとか。
玄々斎著『茶箱点前の記』に以下のような話があるそうです。
昔も今も茶道を学ぶ人たちは「茶箱」を携えて茶を飲んだ。
しかし、茶箱には点前の手順がなかった。
このまま、手順もなく、みだりに取り扱うのは良くない。
そこで、旅箪笥の習いにある茶の点て方の法に基づいて、
棚板を簡略化して四つに畳んだものを器居(きずえ)と呼び、
この上で茶道具を扱うよう定めよう。
もしくは箱の蓋やかけごの上でも、扱うと定めよう。
程良い方円の盆を用いるのもよいだろう、
などと考えたのです。
「月点前の扱いは唐物、雪点前の扱いは茶通箱、
花点前の扱いは小習事に添うべきもの」
と教え伝えていきなさい。
古老の人たちとよくよく考えて極めた私の趣意を、
ここに記しておく。
こうして「冬・秋・春」に対応した「雪・月・花」の茶箱点前ができるみたいです。
その後しばらくしてから、夏に対応する「卯の花点前」を考案するそうです。
余談ですが、裏千家の茶箱の点前は六つあるようです。
残り二つは、裏千家十四代淡々斎が考案した
「色紙点前」と「和敬点前」だそうです。
色紙点前は、四枚の古帛紗を用いる点前で、
茶巾箱と古帛紗を置き合わせた様子が色紙を散らしたように見えるところから、
この名があるみたいです。
和敬点前は、昭和18年の戦時下、二つの茶碗を仕組んだり、
お茶を客側に出すとき、茶碗に古帛紗を添えないなど、
多くの兵士たちがさっと飲めるよう考案した点前だそうです。
なお、器据に関しては、別ページで説明しています。