茶道具 翔雲堂


ひと口知識

※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。


なお、一部の作品、販売しています。

薄板ってこんなの

薄板には「矢筈板(やはずいた)」「蛤端(はまぐりば)」「丸香台(まるこうだい)」の三種があるそうです。
花入により使い分け、それぞれ真・行・草の格にあたるようです。

「矢筈板」は、板の木口が矢筈形で真塗、上側の寸法が下側より一分大きく、
広い方を上にし、古銅・青磁など「真」の花入に用いるとのこと。
矢筈とは、弦につがえるために凹字型になった矢の頭部のことを言うそうです。

「蛤端」は、木口が蛤貝を合わせたような形で溜塗、
砂張・施釉の国焼など「行」の花入に用いるとのこと。

「丸香台」は、木口は丸く、かきあわせ塗り、
伊賀・竹の花入などの「草」の花入に用いるとのこと。

籠の花入に薄板は用いないとのこと。


■籠の花入

久須見疎安著『茶話指月集』に、以下のような内容が書かれているそうです。

ある時、古田織部が籠の花入を、 薄板を敷かずに床へ置いていたのを、
利休が見て、
「古来、籠花入は薄板にのせていましたが、
何か面白くないと思っておりました。
これについてはあなたのお弟子になりましょう。」
と言って、
それより、利休 も薄板を使わずに籠花入をじかに置くことにした。
作品名:薄板(糸巻・松摺漆)
備考:淡々斎好写/紙箱入

薄板(糸巻・松摺漆)
※画像を押すと拡大できます。
淡々斎好糸巻香台 松摺漆花台の写しです。

摺り漆技法は、木地に生漆を何回も摺り込み仕上げ、
銘木の杢(もくめ)際立たせる技法だそうです。

目止め・着色など木地調整をした木地に、
生漆を布や専用紙で摺り込み、きれいに拭き取ったら乾燥させ、
この工程を4〜5回又は、7〜8回繰り返すとだんだん艶が上がるみたいです。
摺り漆(すりうるし)は、拭き漆(ふきうるし)ともいうようです。

摺り漆技法は、呂色(ろいろ)仕上げに用いる場合と、
木目を美しさをきれいに見せるために行われるそうです。

摺り漆の質は、使用する漆の質と摺りこむ回数、摺りこみ方で大きく変わり、
丁寧な仕事だと上質な国産漆を使い、たんぽ摺りを均等に何度も行い、
この工程を十数回も繰り返すこともあるのだとか。


作品名:三枚組薄板
備考:紙箱入

三枚組薄板
※画像を押すと拡大できます。
本来、「真・行・草」という三つの文字は、
書道における書体の類型を示すものだそうで、
王羲之(おうぎし)によって、古代の篆書(てんしよ)・隷書(れいしよ)に対して
真書(楷書)・行書・草書の三体が確立したようです。


■楷書の芽生え
行書、草書の完成、楷書の芽生えとして、
「李柏文書(李柏尺牘稿)」というものがあるそうです。

これは、前涼国の使者が西域諸国を歴訪するについて、
西域長史・李柏が符太にもたせた、
訪問先の各国王に宛てた書状の草稿みたいです。

この文書が書かれたのは、
王羲之22歳から24歳の時期に当たるようです。


■書聖・王羲之
王羲之は、303年〜361年頃の人で、衛夫人から、
後漢の蔡ヨウ・魏の鍾ヨウの書法を伝授され、
その法を枕中の秘としたそうです。

7歳の時から衛夫人のもとで書を学び、
12歳の時に父の枕中の秘書を盗み見、その技量が進んだとか。

この時代にあっては、まだ新しい書体であった行書・草書を、
たった一人の技量だけで、一挙に完成の域にまで高めたそうです。

ただ、行書・草書は日常の書体で、漢代からの風習として、
正式書体としての隷書の地位が残っていたようです。
そのため、王羲之一族の墓誌に羲之の書は採用されていないとか。

王羲之の書の名声を高めたのは、唐の太宗の強い支持と、
宋の太宗により編纂された『淳化閣帖』の影響が大きいようです。

王羲之は各体を能くし、『書断』では楷書・行書・草書・章草・飛白の5体を、
神品(唐代画家の優劣を格付する上での最高位)としているそうです。


■唐の太宗皇帝
太宗は、626年〜649年の人で、文化への理解も深く、
とりわけ書には関心があったそうです。

特に王羲之には心酔し、書蹟蒐集に情熱を燃やし、
中国全土から2290紙(真行290紙・草書2000紙)に及ぶ羲之書を集めたみたいです。

国中に王羲之書風を大いに奨励し、
太宗の下には王羲之流を善くする、
初唐の三大家(虞世南・歐陽詢・楮遂良)が揃い、
この三大家に至って「楷書」が最高の完成域に到達したそうです。

太宗は崩じた時に『蘭亭序』を一緒に昭陵に埋めさせたとか。
その後戦乱を経て王羲之の真筆は全て失われたようで、
現在、王羲之の書とされているものも、
唐代以降に模写したものと、石版や木板に模刻して制作した拓本のみだそうです。


■宋の太宗皇帝
太宗は、976年〜997年の人で、学問を好んだそうです。

父親の趙弘殷は太宗のために、淮南を征伐した際、
州や県を占領しても財貨には一切目もくれず、
古書を探して太宗に贈ったという逸話もあるとか。

太宗は、『淳化閣帖(じゅんかかくじょう)』及び、
『澄清堂帖(ちょうせいどうじょう)』という法帖(ほうじょう)の、
編纂を指示したそうです。
ともに王羲之の書が精刻されてるみたいです。

法帖というのは、書道において、
紙に筆と墨で書かれた書蹟のうち、
保存・鑑賞・学書用に供するために、
仕立てられたもののことだそうです。


■王羲之の法帖

以下に王羲之の主な法帖を一覧にしてみました。
書体書名備考
楷書楽毅論(がっきろん)戦国時代の燕の宰相であった楽毅の言行を、
三国時代の魏の夏侯玄が論じたもので、
羲之の小楷として第一位に置かれる。
黄庭経(こうていきょう)老子の養生訓で、羲之の小楷の中でも気韻が高い。
真跡として唐に伝わったものは安史の乱で消失。
東方朔画賛(とうほうさくがさん)漢の武帝に仕えた東方朔という奇人の画像の賛。
孝女曹娥碑(こうじょそうがひ)曹娥碑の建碑は後漢であり、
後に王羲之がその碑を臨書したもの。
行書蘭亭序(らんていじょ)353年3月3日に、名士41人を別荘に招いて、
蘭亭に会して曲水の宴が開かれ、
その時に作られた詩集の序文の草稿。
興福寺断碑(こうふくじだんぴ)唐の興福寺の僧大雅が、羲之の行書を集字して、
721年に建てたもの。
喪乱帖(そうらんじょう)王羲之の手紙の断片を集めたもの
孔侍中帖(こうじちゅうじょう)『哀禍帖(あいかじょう)』・『九月十七日帖』・
『憂懸帖(ゆうけんじょう)』の3帖から成る。
快雪時晴帖(かいせつじせいじょう)「羲之頓首」に始まり、
時候の挨拶に続いて相手の安否を気遣い、
要件を済ますといった、
形式通りに書かれた手紙文3行と、
「山陰張侯」(宛名)の4行からなる。
その他平安帖(へいあんじょう)・姨母帖(いぼじょう)・
奉橘帖(ほうきつじょう)
草書十七帖(じゅうしちじょう)羲之の手紙29通を集めて一巻としたもので、
蜀郡の太守の周撫に与えた手紙が多い。
遊目帖(ゆうもくじょう)羲之が益州刺史・周撫に宛てた尺牘11行で、
蜀郡への憧れを寄せている。
瞻近帖(せんきんじょう)羲之が陶瞻に宛てたもの。
行穣帖(こうじょうじょう)2行15字の尺牘の断簡で、文意は不明。
二謝帖(にしゃじょう)親しい謝氏の誰かが亡くなった悲しみを綴った尺牘で、
草書で10行、77文字ある。
秋月帖(しゅうげつじょう)ごく簡単な相手の安否を問う尺牘で、
草書で7行、50文字ある。
得丹楊書帖(とくたんようしょじょう)羲之が遠く離れている友人に対し、
会ってゆっくりと語り合いたいと綴っている。
袁生帖(えんしょうじょう)羲之が都へ行った袁の近況を尋ねている。
その他時事帖(じじじょう)・知念帖(ちねんじょう)・自慰帖(じいじょう)・
皇象帖(こうぞうじょう)・ 晩差帖(ばんさじょう)・ 大熱帖(だいねつじょう)・
転佳帖(てんかじょう)・ 初月帖(しょげつじょう)・ 妹至帖(まいしじょう)・
長風帖(ちょうふうじょう)・ 労弊帖(ろうへいじょう)・ 荀侯帖(しゅんこうじょう)・
寒切帖(かんせつじょう)・ 従洛帖(じゅうらくじょう)・ 遠宦帖(えんかんじょう)・
参朝帖(さんちょうじょう)・ 弘遠帖(こうえんじょう)・ 分住帖(ぶんじゅうじょう)・
周常侍帖(しゅうじょうじじょう)・ 謝生在山帖(しゃせいざいさんじょう)


作品名:三枚組薄板
備考:紙箱入

三枚組薄板
※画像を押すと拡大できます。
ここでは、薄板のひと口知識をいくつか紹介しようかと思います。


■畳床と板床
畳床に花入を置く場合は、薄板を使うのですが、
板床には薄板は用いないそうです。


■水洗い
薄板の木地は必ず水で濡らすのが基本みたいですが、
濡らした後の処理でカビが生えたり、板が反ったりする場合があるので、
注意が必要みたいです。


■利休百首69
69.うす板は床かまちより十七目 または十八十九目におけ

床框(とこがまち)は、床縁とも言うようで、床の間の前端で、
床畳または床板の端を隠すために用いる化粧横木だそうです。

十七目 または十八十九目というのは、22cm〜25cmくらいのことで、
奥行きが、90cmくらいの床の間に、
薄板を置いたときの位置を示しているようです。

薄板を置く位置に幅があるのは、床の大小、花や花入によって、
位置が多少変わるためみたいです。

床の間のサイズは、半間(約90cm)が普通だそうですが、
1間半(約270cm)以上の広い床の間もあるようです。

最近では、50cmほどの浅い床もあるそうです。


■利休百首70
70.うす板は床の大小また花や 花生によりかはるしなしな

花入を置く位置は、まず薄板の位置によって定まるといって良い、
ということみたいです。

前述しましたが、籠花入以外の花入には、
下に薄板を敷くことになっているのですが、
床の上が畳でなく、板になっている場合は、
薄板は敷かなくてもよいそうです。

床の間に掛軸を掛ける場合、
半間〜1間だと「半切」「尺三」「尺二」「尺巾」「九寸」の掛軸、
1間〜1間半だと「尺五」 「尺八」の掛軸、
1間半以上だと「大幅」「対幅」「三幅対」の掛軸、
などを掛けると、見栄えが良いのだとか。



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