茶道具 翔雲堂


ひと口知識

※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。


なお、一部の作品、販売しています。

振出(振出し)ってこんなの

茶箱に仕組んで、金平糖や砂糖豆・霰・甘納豆など、
小粒の菓子を入れる小形の菓子器とのこと。
中に入っている菓子を振り出して用いることからその名があるようです。

待合などに香煎を入れて、汲出盆に添えておくこともあるとか。
(※銘菓の九重は、通常、待合の汲出の飲み物として使うのですが、
 振出などに入っていると、ちょっと嬉しくなりますね。)

茶会の趣向で、惣菓子器代わりに用いるようなこともあるそうです。
また、寄付の汲出盆に、香煎を入れて用意するのにも用いられるみたいです。


■振出の材質
材質は、陶磁器が多く、
青磁・祥瑞・染付・織部・唐津・備前など各種あるようですが、
とりわけ染付物が好まれているようです。
また、中には、小さい瓢箪をそのまま用いたものや、塗物もあるそうです。

最近では、海外の品も多く使用され、ドイツのマイセン、イギリスのチェルシー、
ウェッジウッドのレリーフ焼、フランスのリモージュやアトリエ・ザール・テシエ、
イタリアのマジョリカ、デンマークやオランダのデルフトなどなど、
菓子器になるような品があるみたいです。
また。ガラス工芸品にも、同様のものがあるとか。

取り合わせによっては、振出の代わりに「ヤンポ」と言う、
金属製の蓋物を菓子器として用いることもあるそうです。


■振出の形
形は口細のラッキョウ形や瓢箪形などがあるようです。
振出の栓は、共蓋の容器や、はじめから付属している場合もあるみたいですが、
竹皮や蒲(がま)の葉、菅蓋(すげぶた)などであつらえるようです。
栓が緩いと振出の中に落ちるので、きっちりと合う栓を添えるそうです。

なお、菅蓋とは、スゲやカヤの仲間の葉を用いていたもののようで、
時代劇に出てくる「すげ笠」の「すげ」なのだとか。


■振出の使い方
右手で振出を取り、左手に持たせ、菅蓋を取り懐紙の右上に置き、
容器を両手で回しながら中の菓子を出すみたいです。

振出の口径によって、中に入れる菓子の大きさを選ぶそうです。
振りだす時に「一気に出るもの」や「出にくいもの」は避けるべきでしょうか。


■拝見・所望
和敬点前以外で拝見を所望する時は、振出はかえさず、
拝見物をかえす時に、一緒にかえすそうです。


■後片付け
使用後は、中の菓子を取りだし、内部を清めて
しっかり乾かし、栓をして仕舞うそうです。
作品名:陶器三点セット
(海松波画)
作者:手塚桐鳳
備考:紙箱入

陶器三点セット
※画像を押すと拡大できます。
海松(みる)は、浅い海の岩石に自生する海藻の一種だそうで、
濃緑色の幹が多数、枝分かれしたものみたいです。
見た目が松の枝葉に似ているところからの名前でしょうか。
昔は朝廷への献上品だったようです。

この海松を模様化したものが「海松模様」で、
平安時代からあった文様のようです。
波や海藻を配したものが多いのだとか。

海松色というものもあるそうで、
Webで表示すると
■■■■■海松色■■■■■
のようになるみたいです。

海松に関する歌は『万葉集』にもあるそうで、
 神風の 伊勢の海の 朝なぎに 来寄る深海松
 夕なぎに 来寄る股海松 深海松の 深めし我れを
 俣海松の また行き帰り 妻と言はじとかも 思ほせる君
 (作者不詳 巻13-3301)
など5首(全部長歌)があるようです。


作品名:振出・茶巾筒
作者:西村徳泉
備考:紙箱入

振出・茶巾筒
※画像を押すと拡大できます。
一器三様という言葉があるそうですが、
共蓋の振出の場合は、
茶入・水滴(硯石に水を注ぎ入れる器)などに、
使うことも可能なようです。

青磁・祥瑞・宋胡録などの振出で、
このような使い方もできるのではないでしょうか。


作品名:陶器三点セット
作者:昌山(茶碗)
備考:紙箱入

陶器三点セット
※画像を押すと拡大できます。
ここでは、金平糖について説明しようかと思います。

金平糖という言葉は、オランダ語でお菓子を表わす
「コンフェイト」から来ているそうです。

日本に入ってきたのは、1569年にポルトガルの宣教師が、
織田信長に献上したのが始まりみたいです。


■金平糖の作り方
1.氷砂糖に水を加えて煮詰め、蜜をつくる。
2.回転鍋(銅鑼)を熱しながら、金平糖の核となるケシ粒(ザラメ糖)を入れる。
3.ケシ粒に熱い蜜を少量ずつかけ、
 回転させながら目的の大きさと凹凸状の突起ができあがるまで、
 1週間〜2週間以上かけて粒をゆっくり成長させていく。


■金平糖の突起
この特徴的な突起がなぜ、またいくつ形成されるのかについての定説は、
現在になっても、まだないのだそうです。
蔵本・シバシンスキー方程式により、定式化が試みられていたり、
寺田寅彦が「金平糖の角の研究」をしたようです。

綺麗に突起を成長させるための必要条件は、
1.全ての粒子の表面が糖蜜の薄い層をまとった状態にあること。
2.成長した結晶粒が攪拌によって均等に混ざり合い、サイズ毎に分離しないこと。
だそうです。


■乱流
以下、完全に物理学の世界になりますが、
蔵本・シバシンスキー方程式を出すために、
まず「乱流」の説明からしようかと思います。

乱流というのは、時間・空間的な乱れが持続する状態を言うそうで、
「水の流れ」がその代表だそうです。

1883年、オズボーン・レイノルズは、水槽で観測実験をして、
1885年、ナヴィエ・ストークス方程式が発表されるようです。
1925年、ルートヴィヒ・プラントルが、気体で似たような感じになることを
理論的に解析したみたいです。
1935年、テイラーが、統計学的に理論解析できるようにしたそうです。

これで「実験」「理論」が出そろい、コンピューターが登場すると、
「コンピューターによるシミュレーション」が本格化するそうです。
1960年後半、ナヴィエ・ストークス方程式の乱流解というものを
シミュレートする研究が始まるようです。

ナヴィエ・ストークス方程式
 ナヴィエ・ストークス方程式
(※「u」は連続体の速度場、「p」は圧力、「f」は外力、
「ρ」は密度、「ν」は動粘性係数だそうです。)


■蔵本・シバシンスキー方程式
シミュレーション研究の進歩で、
乱流の主な研究対象であった流体系以外でも、
様々な偏微分方程式について、
乱流解が存在することが明らかになってきたそうです。

例えば、先に出したナヴィエ・ストークス方程式の場合、
「レイノルズ数」という値を変化させることで、乱流(非線形性)を
表わすようになるのだとか。

中でも、複数の非線形偏微分方程式として物理界では有名な式が、
複素ギンズブルグ-ランダウ方程式だそうです。

これで、乱流の空間二次元の振る舞いが、わかるようになるみたいです。
(位相乱流や振幅乱流の他、標的パターンや回転らせん波のパターンが現れるのだとか。)

ちなみに、元々のギンズブルグ-ランダウ理論は、
1950年にロシアで発表された超伝導を説明する現象論だそうです。

複素ギンズブルグ-ランダウ方程式
 複素ギンズブルグ-ランダウ方程式
(※「A」は時間「t」 と空間 x の複素関数で、理想的な自励振動場を表わすようで、
「c1」は線形散逸のパラメータ、「c3」は非線形散逸のパラメータ)

そして、この複素ギンズブルグ-ランダウ方程式を、
簡単に(位相成分ψを近似)したのが、
蔵本・シバシンスキー方程式だそうです。

蔵本・シバシンスキー方程式
 蔵本・シバシンスキー方程式

この式は、炎の表面の振る舞いを表わしたものだそうで、
三次元の乱流の振る舞いが、わかるのだとか。
金平糖の角も、この近似式によって、大まかにわかるみたいです。


作品名:陶器三点セット
作者:桐鳳
価格:8,000円
備考:紙箱入
/振出は、桐鳳の作ではありません。

陶器三点セット
※画像を押すと拡大できます。
ここでは、茶箱に入る振出の大きさを、
いくつか挙げてみようと思います。
茶箱名振出名大きさ
利休好 菊置上茶箱赤楽振出高7.6cm×口径2.0cm×底径5.1cm
玄々斎好 裂蒔絵茶箱白釉口四方振出(保全作)高9.4cm×口径2.7cm
玄々斎好 春秋七草茶箱織部振出(慶入作)高10.6cm×口径2.8cm×底径3.2cm
玄々斎好 匙鉋目茶箱楽茄子形振出(旦入作)高7.2cm×口径2.3cm×底径5.6cm
淡々斎好 雪月花茶箱龍文交趾写振出(即全作)高8.2cm×口径3.4cm


作品名:三点セット(花丸)
作者:御室窯(振出・茶巾筒)
備考:木箱入

三点セット(花丸)
※画像を押すと拡大できます。
江戸初期に、野々村仁清が金森宗和の指導により、
仁和寺宮の許しで御室仁和寺門前にて御室窯を開いたそうです。

江戸末期、旧地に永楽和全が一時期新しく窯を築き
「おむろ」印を用いるようになるとか。



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