茶道具 翔雲堂


ひと口知識

※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。

前瓦(前土器)ってこんなの

前瓦は、風炉の火窓からの火気を防ぐために立てる、
面を取った半円形の素焼きの土器(かわらけ)のことだそうです。

前土器は、御神酒を頂く土器を少し欠き用いたのが始まりだとか。

鉄風炉には「赤の前土器」を用い、
その他には「白または雲華焼」を用いるようです。
酷暑には二枚重ねて用いることもあるとか。

珠光時代以前には用いられていないようで、
頬当風炉のように眉のない風炉が出来てから用いられるようになり、
眉風炉には用いませんでしたが、
堺の草部屋が初めて用いてから眉風炉にも用いるようになったとか。

風炉のサイズに合せ大きさも変え、
灰形により丸みの異なるものを用いるみたいです。

風炉には底の部分に「底土器」を用いることが多くなっているそうで、
これも風炉のサイズで大きさを使い分けるとのこと。

五徳の高さを合せるための「五徳瓦」と言ったものもあるようです。


■『源流茶話』より
薮内竹心著『源流茶話』にこんな話があるそうです。
前土器には、内曇りを用います。
中暑の頃には、中土器、
暑さの厳しい時には、大土器、もしくは二枚使い、
残暑には逆土器などが使われましたが、
時により扱いが異なり、
だいたい中暑・酷暑の時は、大・中の土器が用いられます。

逆土器、二枚土器は共に土器の立て方、灰形に習いがあります。

※内曇り:内側に黒い焦げのある白い素焼きの土器のこと。


■その他の文献
『茶道筌蹄』に
「前土器 白火色、原叟手造形、白火色四品あり」
とあるそうです。

『茶湯古事談』に
「風炉の前かわらけを、利休二枚かさねて立し事あり、
又わり目を上へなして立し事も有、
是等ハ炎暑之比ゆへ火気を坐中へ出さぬ用なりし、
然るに去茶人一年利休長閑なりし元三に風炉を用し事有とて、
二月の余寒烈しきに風炉を出し、
しかも前瓦を高々とたて、火をミせさりしかは、
心有客は内々わらひしとなん」
とあるみたいです。

『茶道要録』に
「前土器之事、図あり、火を顕すまじきが為也、
火気を押ゆる故に、酷暑の節は二枚重ても立る也、
冷しき時は一枚を下て立る、
恒は一枚を以て高下見合有べし、
歳若き者に此土器上を下へして、
直なる方をみせて立させたる事有、
総じて春秋は火を顕はし、夏はかくす也」
とあるようです。


なお、 「風炉」について は、別ページで説明しています。
読み:もみじえまえがわら
作品名:もみじ絵前瓦
作者:檜垣青子

もみじ絵前瓦
※画像を押すと拡大できます。
ここでは「もみじ」と「かえで」の違いついて説明しようかと思いますが、
植物学的には、どちらも「カエデ科カエデ属」に分類される木の総称だとか。
盆栽関係ではこれを区別して使い、
葉の切れ込みが五つ以上のカエデ属だけを「もみじ」と呼び、
その他のカエデ属を「かえで」と呼んでいるようです。

童謡などに出てくる「紅葉(もみじ)」は、
カエデ属に限定せず様々な樹木で葉の色が変わる現象の総称として使っているそうです。

紅葉(もみじ)の色は、大きくわけて以下の三種類があるみたいです。
 紅色:色素「アントシアン」
 黄色:色素「カロテノイド」
 褐色:褐色物質「フロバフェン」
というふうに書くと、何の趣きも感じられませんが、
もみじは、ただ目で見て感じた情景を愛でるのが一番良いのではないでしょうか。

「檜垣青子」は、風炉師「 寄神崇白 」の長女「二代目檜垣崇楽」と、
その夫「初代檜垣崇楽」の長女だとか。個展も多数開いているとのこと。
檜垣青子の長男「檜垣良多」もまた作陶に励んでいるようです。


作品名:前瓦(唐金用)
作者:小川長楽
価格:各5,000円
備考:紙箱入

前瓦(唐金用)
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前土器は、白と赤との二種があり、
土風炉や唐銅風炉には白を、
鉄風炉には赤を用いるそうです。

前土器は、利休形、原叟好、遠州好、不昧好など、
その他流儀により好みものもあるようです。

前土器の焼としては、素焼以外に、
楽焼、深草焼、今戸焼、秦焼、雲華焼などがあるとか。


作品名:前瓦(白)/(唐金用)
作者:佐々木昭楽
備考:紙箱入

前瓦(白)/(唐金用)
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前瓦を立てる位置は、二文字押切の場合、
風炉の大きさによって、
前二本の五徳の爪を結ぶ線の手前から、
五徳の脚の幅に対して、
中央部分になるよう合わせるそうです。

前瓦は、まっすぐに立てるみたいですが、
やや向こう側に倒すときもあるようで、
その場合、仰向けに見えないようにするとか。

前瓦の高さは、
釜の底から指一本分を開けて立てるそうです。

ただし、季節によっては、
微妙に変化をつけるのだとか。


■前瓦を二枚立てる場合
酷暑の季節には、赤白二枚の前瓦を立てて、
火気を避けることもあるようです。

二枚の瓦は、二文字押切か、遠山灰に施されるとか。

このとき、右手前に白の瓦を、
通常通り半円を上にして置き、
左向こうに赤の瓦を逆さにして置くそうです。

また、同じく火気を避けるために、
白の前瓦一枚を逆さに立てることもあるとか。


作品名:前瓦(雲華)
作者:寄神崇白
備考:紙箱入

前瓦(雲華
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雲華焼とは、焼成中の操作により、
器の表面に雲がかかったように、
黒や灰色のむらを出したものだそうです。

前瓦の他、香合・蓋置・灰器などにも、
見られる焼き方のようです。

雲華焼は楽土を使用しているそうですが、
炭の色付けで景色を付け、
その後丹念に椿の葉で磨き上げらることで、
光沢を出すみたいです。



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