茶道具 翔雲堂


ひと口知識

※内容に間違いがあるかもしれませが、ご了承ください。
また、ここの文章に関しては、質問等は受け付けていません。ごめんなさい。

五徳ってこんなの

古来、日本では、囲炉裏において鍋や釜で煮炊きをするとき、
自在鈎と五徳のいずれかを用いたそうです。

初期の五徳は三本足で、環を上にして用いたみたいです。
これは古くは竈子(くどこ)と呼ばれたもので、
古代の鼎(かなえ)に由来するもののようです。

鼎というのは、なべ型の胴体に中空の足が3つ付き、
肉・魚・穀物を煮炊きする土器として使われたみたいです。

現代でもよく知られる形状の五徳は、
桃山時代、千利休の指導下、
茶釜などの開発に当たった釜師たちによって生み出されたそうです。

茶道の始まりと共に室内で用いる小型の炉「風炉(茶炉)」が現れ、
竈子(くどこ)を従来とは逆向きに設置し、
爪を上にして使うようになったみたいです。

この過程で「くどこ」の読みも逆さまにされ
「ごとく」と呼ばれるようになったとのこと。
「五徳」は当て字だそうです。

材質は基本的に主に鉄で、稀に真鍮や銅で作られているようです。
ただ、太平洋戦争中など金属の不足が深刻であった時代には、
陶器製も多く作られたのだとか。

囲炉裏では鍋や鉄瓶を火にかける際、
五徳か自在鈎のいずれかが必須みたいです。

開発されて間もないころは、様々な形のものがあったようで、
釜師・辻与次郎の手によって、
「まむし頭」「長爪」「牛爪」「方爪」
などといった爪を持つ五徳が作られたのだとか。

五徳が開発されるまでは、切掛や透木を用いていたそうです。


■五徳の名の由来
前述の「くどこ」→「ごとく」以外にも、以下のような説もあるようです。

山田宗偏著『茶道要録』によれば
 仏書に自在徳・熾盛徳・端厳徳・名称徳・吉祥徳・尊貴徳の六徳があるみたいです。
 鉄輪を用いて釜を懸けていたが、上げ下ろしが不自由な為に、
 鈎を作って上げ下ろしを自由にして、これを自在鈎というようになったそうです。
 それで、六徳の内の自在徳を除いて、五徳を残したのだとか。
これにちなんで、三つ足の鉄輪を「五徳」というようになったようです。

他にもこんな説があるようです。
火所(くとこ)、火床(ことこ)が転訛した語で、
小さい鍋を火にかける際に、竈(くど)にあった道具の金輪を竈に置いて、
その上に乗せたのが五徳の始まりだそうです。
もとは民具から転用したものみたいです。
珠光・紹鴎のころに茶の湯に用いられるようになったとか。


■まむし頭(まむし五徳・まむし爪)
釜師・辻与次郎が開発した、まむし五徳について、
ほんの少々補足しようかと思います。

まむし五徳は、爪がマムシの頭のようなのでその名がついたそうです。
岩鋳のまむし五徳は、風炉用の五徳で、下の輪の部分が切れたものみたいです。
この切れた部分に、前瓦を置くようです。


■風炉と炉の五徳
風炉用の五徳は小さく、据えたときに前にくる輪の部分が欠いてあるそうです。
炉用は大きく、本来の五徳のままの形をしていて、欠いてないのだとか。

爪の形は、風炉・炉ともにたくさんの種類があるそうです。
小爪・中爪・長爪・鴨爪・蝮爪・
平爪・銀杏爪・瓦爪・笹爪・芋爪・法蓮爪・蓬莱爪などなど。

風炉の五徳は、爪の二本が手前で、一本が真向こうになるように据えるそうです。

風炉の場合の五徳を据える高さは、
筒釜などの様に丈がある釜には、五徳を低く据え、
平釜のように丈の低い釜には高く、
真形釜に準ずる場合には、
釜をかけてみて風炉の上縁より釜の羽や羽落(胴にある繋ぎ目)が、
低くならないように据えるのだとか。

炉の場合は、炉の切り方によって据える方向が違ってくるようですが、
四畳半切本勝手では、炉正面に向かって右側に爪の一本を左に向くように、
左側には立てに二本並ぶように据えるそうです。
据える位置は、炉の中心で、
三本の爪の中に一本だけ変わった爪はあれば、それを右側にするみたいです。

据えた五徳の高さは、風炉同様、釜に合わせるそうです。
釜をかけてみて、口に柄杓をあずけ柄を斜めに流した状態で、
畳の縁との間に指が一本入る程度のようです。


■五徳の種類
基本的形状として、環に3本または4本の足が付いた架台を
上輪五徳または、丸五徳というそうです。

この上輪五徳を踏まえて、
以下に、五徳の種類を一覧にしてみようと思います。
種類備考
三本足五徳3本足の上輪五徳。
四本足五徳4本足の上輪五徳。
平五徳ガステーブルコンロに備え付けの五徳。
足が無く正方形で6本の爪を持つ。
全面五徳業務用や家庭用の高級なガスコンロで、上部全面を覆うもの。
全面補助五徳全面五徳に近い形で使える補助部品としての五徳。
個別五徳全面五徳や全面補助五徳に対しての従来の五徳の呼び名。
中華五徳中華鍋を一般家庭の調理場や時に、
料理店の厨房で使う際に用いられる環状の金属製器具。
一本足五徳上輪五徳に似るが、一本足で、
足の接地面は2つもしくは1つの弧になっている。
金輪(かなわ)上輪五徳によく似た形状ながら、ひと回り以上大きなもの。
大きな環の内側に付いている3本の爪で器具を受ける。
飛騨地方で使われ続けている。
三ツ爪五徳環状の足から3本の長い爪が伸びる形の五徳。
「上輪」に対して「下輪」と言ってもよい天地逆転したような形で、
環の面ではなく爪の3点で器具を受ける。
爪五徳・蕨五徳・猫足五徳など、
爪の形状の違いで呼び分けられることもある。
吉原五徳長方形に格子組みされた4本足の枠の上で、
鉄瓶などを乗せる五徳本体が、
左右にスライドする機構を持つ、長火鉢用の五徳。
仙台五徳長方形に格子組みされた枠と円筒状の五徳が一体化したもの。
火鉢や囲炉裏で用いられる。
呂金五徳五徳と一体化した呂金で、
形状によって「丸呂金五徳」「角呂金五徳」と呼び分けられる。
自在五徳形状ではなく可動式という特徴による分類で、
「吉原五徳」「可動式の一本足五徳」がそれにあたる。

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