作品名:炉壇セット
(柿合炉壇・五徳付) 備考:紙箱入 |
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11月は、炉開きの季節でしょうか。
炉は囲炉裏の略語だそうで、 一尺四寸(42.4cm)四方と寸法が決まったのは、 紹鴎時代のようです。 炉壇(巣櫃)は、塗壁を正式とするそうで、 他に陶器・鉄・銅・石等があるみたいです。 塗壁は毎年塗り替えるのが理想的のようです。 炉開きは、陰暦10月の初亥の日だそうですが、 数日前までには、炉壇を塗り変えなくてはならないそうです。 それこそが茶人の心得なのだとか。 現在、炉壇を本格的に塗れる人は少ないようで、 今や炉壇師と呼ばれる人は貴重な存在と言えるみたいです。 ■五行思想と炉壇 炉壇は、古くは石で出来ていたそうです。 それは、やわらかく細工のしやすい石で作られていたみたいですが、 持ち運びが大変だったため、 宗旦の頃から木の枠の中に土を塗り、 土の炉壇が作られるようになったようです。 土は水に弱く、火に強いため、土で火を囲ったみたいです。 かつて、炉壇のことを火を入れる入れ物という意味で、 「炉櫃(ろびつ)」と言っていたそうです。 それがいつしか、格が高い「壇」の字を使うようになり、 「炉壇」となったのだとか。 日本には、五行思想(ごぎょうしそう)というものがあるようですが、 この一尺四寸の炉の前に座れば、木火土金水のすべてが揃うそうです。 木:炉縁 火:炉中の火 土:炉壇 金:釜 水:釜の中の湯 といった具合みたいです。 五行思想(五行説)とは、古代中国に端を発する自然哲学の思想のことだそうで、 万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという説みたいです。 5種類の元素は、 「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」 という考えが根底に存在するとか。 ■聚楽土 京都の聚楽第から採れる聚楽土は、炉壇に非常に適しているそうです。 この土には粘り気があり、乾燥して固まった時に、非常に強くなるのだとか。 そのため、採取した土は、そのまま使うのではなく、 よく踏んでさらに粘り気を持たせるようです。 聚楽土を炉壇に塗る時は、中央に蝋燭を立てるようです。 土に水分を含ませて塗っていくみたいですが、その時、蝋燭の灯りだと、 土が光を吸収するような感じのやわらかな明るさで、 非常に作業しやすいのだそうです。 また、寒い時期なため、火で手も温まり、 適度な熱で土が乾いて行くのだとか。 作業としては、長年寝かせておいた聚楽土の塊を削り、 それを摺り、糊を混ぜて練るようです。 それをコテなどの道具を駆使して、 高度な技術をもって塗り上げていくそうですが、 気温が高いと練り上げた土の加減が悪く、 綺麗に仕上がらないようです。 時期としては、比較的涼しくなる10月以降が良いとか。 塗り直した後、完全に乾くまでには3日ほどかかるそうなので、 余裕を見て炉開きの5日前くらいまでには、 塗り直しをしておくのが良いみたいです。 また、炉の蒔灰(まきばい)である湿灰(しめしばい)は、 時間のある時に作っておくと良いようです。 ■炉壇の手入れ 炉壇の手入れは、炉を閉める時に、 必ず灰を全て上げることが重要みたいです。 そうしないと、中に湿気がたまり、 炉壇が傷んでしまうとか。 使用中も、炉壇の角に物を当てないよう注意する必要があるみたいです。 炉は角があってこその炉で、 角(炉)があり、丸(釜)があるからこそ、自然の理に合っているのだとか。 万一、角が欠けた場合、応急処置として、 聚楽黄土の粉末を、餅より少し硬いくらいに練り、 小刀などで、欠けたところに塗るとよいみたいです。 (※当然、少々どころでない欠け方をした場合は、 専門の方に依頼した方が良いと思います。) ■九寸九分 炉の内径は、九寸九分(約30cm)と決まっているそうです。 これは、苦々に通じ、これを炉の中の火で焼き取り、 苦々の難を逃すという意味があるのだとか。 |
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