茶巾台(茶巾落とし)ってこんなの

Category: 茶道具全般

茶巾台(円筒形で半蓋)は、濃茶の席で、
上に乗っている小茶巾で、茶碗の飲み口をく拭くために、
亭主から出される器だそうです。

落とし込みの部分に木地板がはめられ、
そこに茶巾をのせて使用済みのものを、
茶巾台の口から中で落とすようにして使うようです。
末客は茶道口の方に返すのだとか。

形は、淡々斎好が溜塗の曲、
又妙斎好・円能斎好が陶器の壷の上に皿を重ねたもの、
みたいです。

■東陽紡につかまつる
『茶湯古事談』に「回し飲み」に関する話があるそうです。

昔は濃茶を一人一服ずつ点てていたのを、
それでは時間がかかって、主客ともに退屈するからと、
利休が吸茶(回し飲み)にしはじめたそうです。

京都の真如堂に東陽紡という僧がいました。
茶の湯を好んで利休の弟子となり、
人々からは一番の侘び数寄者であると、褒められていました。

掛物には尊円親王染筆の「南無阿弥陀仏」の名号を、
利休好みで紙表具にしたものを一幅持ち、
茶碗は伊勢天目一碗だけでしたが、
生涯、炉の火を絶やしませんでした。

あるとき、東陽紡は豊臣秀次の近臣を招いて茶会を催しました。
薄茶を点てて、
「皆さんはお忙しい方々ですから、
お手間を取らせないよう薄茶を大服にてお点てしましたので、
回し飲みにしてください」
と出しました。
その心配りは、時に応じてよろしいと利休も賞美し、
世間の人々も褒めました。

そのことから当時は、薄茶であっても回し飲みにすることが流行し、
そのため大服に点てることを彼の名をとって
「東陽紡につかまつる」などといっていました。

■前茶のおもあい
回し飲みといえば、夜咄の前茶でしょうか。
客側が、
「お正客さま以外は、おもあいにしていただきたいのですが、
いかがですか?」
と言うそうです。

亭主側が
「刻限がございますので、
勝手ながら、おもあいにさせていただきとうございます。」
と答えるのだとか。

前茶は、初座の挨拶のあと、とりあえず寒さをしのぐために、
水次や水屋道具で薄茶を点てることを言うそうで、
寄付で玉子酒・甘酒・生姜湯などを出すため、
お菓子は出さないのだそうです。

■文献
『茶湯古事談』に、
「或時、秀次公の近臣を請し茶の湯せしか、薄茶たて様か、
各御隙なしの方々に候ヘハ薄茶に手間とらす大服にたてゝ進すへき程に、
吸茶になされ侯へとたて出し也、
此作意節に応して宜きと利休も称美し、
世人もほめて、其比ハ薄茶を吸茶にする事はやり、
彼か名をとりて、大服にたつる事を東陽に仕るなとゝいひしとなん」
とあるそうです。

『茶道筌蹄』に
「夜咄 むかしはホ時(申の刻)より露地入せし故、
中立に露地小坐敷とも火を入れる也、
昼、夜咄とも、いにしへの事にて、
当時は夜咄も暮六ツ時に露地入する也、
但し客入込て、炭をせずに前茶点じ、
跡にて炭をいたし、水を張、食事を出す事」
とあるそうです。

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大寄せの御濃茶席などに、
濡らした小茶巾や紙小茶巾などを、
必要数並べて使用する茶巾落し。

陶器製のものは、又妙斎好や円能斎好だそうです。

表千家では、懐紙で茶碗を清めるため、
小茶巾は用いられないようです。

お茶席には大きく分けて二種類あり
懐石・濃茶・薄茶をもてなす正式な茶会である「茶事」と、
多くの客を一同に招き、
菓子と薄茶(または濃茶)のみをもてなす「大寄せ」があるようです。

この茶巾落しは「裏千家の濃茶の大寄せ茶会」の場合に、
使用するみたいです。

硯箱ってこんなの

Category: 茶道具全般

硯箱は、硯の他に筆・墨・水滴・小刀・尺・暦その他を納めることもあるそうです。

種類として、「平硯箱」「重硯箱」「浅硯箱」があるみたいです。、
裏梨子地・表蒔絵・螺鈿・描金などが施されることもあり、
文台と連作になる場合もあるようです。

日本では平安時代から作られ、使用されるようになったようです。
硯箱の黄金時代は室町時代だそうで、平安・鎌倉時代と比べ、
室町時代に作られた硯箱は数多く現代に伝わっているのだとか。

室町時代に制作された硯箱には『古今和歌集』や『源氏物語』といった
日本の文学が蒔絵を駆使して表現されているそうです。
同時代の漆工芸品と比べても質が高く、高い評価を得ている作品が多くあるようです。
たとえば、切手に「第3次国宝1集 八橋蒔絵螺鈿硯箱」などがありますよね。

国宝、重要文化財の一部を挙げると以下のようなものがあるみたいです。

国宝
・舟橋蒔絵硯箱(17世紀・東京国立博物館蔵)
・八橋蒔絵螺鈿硯箱:尾形光琳作(18世紀・東京国立博物館蔵)
・胡蝶蒔絵掛硯箱(17世紀・徳川美術館蔵)

重要文化財
・嵯峨山蒔絵硯箱(15~16世紀・根津身術館蔵)
・男山蒔絵硯箱(15世紀・東京国立博物館蔵)
・塩山蒔絵硯箱(15世紀・京都国立博物館蔵)
・塩山蒔絵硯箱:木製漆塗(15世紀・東京国立博物館蔵)
・蓬莱山蒔絵硯箱(15世紀・京都国立博物館蔵)
・砧蒔絵硯箱(16世紀・東京国立博物館蔵)
・初瀬山蒔絵硯箱(16世紀・東京国立博物館蔵)
・柴垣蔦蒔絵硯箱:古満休意作(17世紀・東京国立博物館蔵)
・蔦細道蒔絵文台硯箱:田付長兵衛作(17世紀・東京国立博物館蔵)
・御所車蒔絵硯箱(17世紀・東京国立博物館蔵)
・芦舟蒔絵硯箱:伝本阿弥光悦作(17世紀・東京国立博物館蔵)
・舞楽蒔絵硯箱:本阿弥光悦作(17世紀・東京国立博物館蔵)
・比良山蒔絵硯箱:塩見政誠作(18世紀・東京国立博物館蔵)

伊丹の小西酒造に伝わる茶道資料『七事 凌雲帳 風の巻』(表千家)に
「茶かぶきに必要なる道具は、茶かぶき棗、棗盆(なつめぼん)、
緋大袱紗(ひおほふくさ)、看板板(かんばんいた)、折居、名乘札、
小奉書(こぼうしよう)一帖(ぢやう)硯箱等なり。」
と記載されているようです。

裏千家でも、唱和之式で
「亭主が正客に重硯箱を運び出し、干菓子器を水屋に引いて、末席に座り、
重硯箱を回し、連客それぞれ墨をすり、懐中した短冊を出して、
自分が最初に生けた花にちなんで和歌をしたためる。」
といった所作があるようです。

紫式部著『源氏物語 野分』より
「紙一巻(ひとまき)、御硯(すずり)の蓋(ふた)にとりおろし奉れば」

意味は、
「紙一巻を御硯箱のふたに取って下に置き(夕霧に)さしあげると。」
となるようです。

この前後の文章は、以下のようになっているみたいです。
夕霧が
「良いものでなくて構わないんですが、
手紙が書ける紙がありませんか。
それとあなたたちの硯を貸していただけませんか」
と頼むと、明石の姫の御厨子から紙一巻を侍女たちが、
硯箱の蓋に載せて差し出したものだから、
「いや、こんな良いもので無くて良いのに」
と言ったけれど、明石の姫の母の身分を思えば、
何も遠慮することはないと気づき、
気安く手紙を書き始めた。

吉田兼好著『徒然草』の序段に、
「つれぐなるまゝに、日ぐらし硯にむかひて、
心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、
あやしうこそものぐるほしけれ。」
とあるようです。

盃台(渡盞/後盤)ってこんなの

Category: 懐石道具

盃(引盃)と盃台の動画です。
盃台から盃を取る場合、下から順に取ります。

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引盃(ひきさかずき)は、
茶事にだされる懐石に用いる、
酒を飲むための塗物の盃のことだそうです。

客ひとりひとりが一枚ずつ引くので、
この名があるようです。

引盃は、古田織部が椀の蓋で酒を飲んでいるのを見て、
利休が好んだのだとか。

五客を一組とするようですが、
実際は客数だけを積み重ね盃台に載せて、
銚子と共に席中に持ち出すそうです。

■引盃の形
一般的には、朱塗で無地の利休形が用いられるとか。

昔のものは大きく、
利休形の大や、藪内好みなどでは、
一枚に五勺以上も入るようです。

初期のものは黒塗で、のちに朱塗となったみたいで、
朱刷毛目、朱掻合、蒔絵などのものもあるとか。

■千鳥の盃
酒と肴が末客まで行き渡ったところで、
亭主は正客のところへ戻り、
「お流れを」と言って自分も盃を所望するようです。

その後は亭主と客が1つの盃で酒を注ぎ合うのだとか。

亭主は正客の盃を拝借するのが通例みたいです。

正客は自分の盃を懐紙で清め、亭主はその盃を受け取り、
そこに次客が酒を注ぐそうです。

その次は、同じ盃を次客に渡し、
亭主が次客に酒を注ぐようです。

以下、末客が亭主に、亭主が末客に酒を注ぎ合った後、
亭主は正客に盃を返し、ふたたび酒を注ぐのだとか。

このように、盃が正客から亭主、
亭主から次客、次客から亭主、
と回ることから、これを「千鳥の盃」と称するそうです。

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盃台(さかずきだい/はいだい)は、茶事にだされる懐石に用いる、
引盃を載せる台のことみたいです。

連客の数だけの引盃を積み重ねて載せ、
銚子と共に席中に持ち出すようです。

盃一枚用の場合もあるとか。
これは、亭主が持ち出す別盃や、
珍盃を載せて出すものみたいですが、
あまり使われることはなそうです。

大小複数の盃を一組にした盃を、
組盃(重ね盃)というようです。

一般的なものは三枚一組の三ツ組盃で、
盃台が付けられている場合が多いとか。

■盃台の形状
盃台は、形状は円形で高台が付き、
天目台に似ているそうですが、
高台には底があり、酸漿はごく低いことも、
全然ないこともあるとか。

高台内に底があるのは、
引盃の一番上に水を入れる向きがあり、
最後にそれを入れたり、
酒の「したみ」を入れるためだそうです。

■盃台の材質
盃と共塗か、盃が朱塗のときは、
多くは、黒塗を用いるようです。

一般的に用いられているのは、
黒塗で無地の利休形みたいです。

他に、溜塗や桑木地・黒楽・
青楽金入のものもあるそうで、
縁の形も円のほかに輪花・糸巻などもあるとか。

陶磁器の発達にともない、
やきものの盃台が現れるようになったそうです。

七種蓋置ってこんなの

Category: 蓋置


動画のこれは、七種蓋置です。

左手前から、「三つ葉」「一閑人」「五徳」
左手奥から、「栄螺」「蟹」「三人形」「火舎」
となります。

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七種蓋置に関しては、
『茶湯古事談』に
「近代七ツのふた置といふハ、三ツ葉、蟹、
さゝひ、ほや香炉、三人坊主、五徳、わ、此等也となん 」
とあるそうです。

それぞれの代表的な文献の記述を見てみると以下のようになるようです。

<火舎蓋置>

『南方録』
穂屋 天子四方拝の時、
用玉ふ香爐といへり、
さまによりて蓋置に用る時も、
殊外賞翫の一ツ物なり、
草庵に用たる例なし、
袋棚以上に用、
手前の時、賞翫の置所等秘事口傳

『茶道筌蹄』
火屋 ホヤ香爐をかり用ゆ

『源流茶話』
「ほや香炉と申候ハ、
いにしへ唐物宝形つくりえ香炉のふたを翻し、
釜のふた置ニ見たて、袋をかけ、真の具に被定候、
ほやとハ蓋宝形つくりなれは也」

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<五徳蓋置>

『南方録』
火卓 爪を上にしても、
又下にしても用、
火卓掛の炉、又は風炉に相応せず、
釣釜によし

『茶道筌蹄』
五徳 開山五徳と云は紹鴎所持、
台子は切懸釜ゆへ、いにしへは五徳を多く用ゆ

『貞要集』
「総而蓋置を隠架と云也、此心は、水覆の内に入、
台子に置候は、架に隠すと云儀なり、
それを五徳の蓋置計を隠架と云は誤也」

『槐記』
「今の人五徳の蓋置の名を、カクレガと云と覚へたるは大なる僻事なり、
それは五徳のふたおきと云ふ也、
台子の七かざりに風炉釜水指を始として皆カネのものを用る、
柄杓は柄杓立あり茶筌は茶筌のせありて、
蓋置ばかりは飾り付る処なし、
もろもろ荘り付けて亭主の持ち出るものはコボシばかりなり、
夫故蓋置コボシの内へ入込て出るをカクレガと云、
コボシの内へ入て見へざりければなり、
乃至、カネの蓋置をコボシへくみたるをカクレガと云からしてカネのものをカクレガと云、
五徳の名にあらず」

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<一閑人蓋置>

『茶道筌蹄』
青磁一閑人 元来香炉なり、
仙叟箱書付には青磁香炉一閑人とあり、
何れの時よりかフタ置となる

同無閑人 人形のなきを云ふ

赤絵の獅子 一閑人のごとく、人形の所が獅子になる也

『茶道望月集』
惻隠の蓋置は、一閑人共云、是を棚に置時は、
人形を前へ見て置、堵炉の時は人形を向へ見也、
又風炉の時炉にても向点の時は、人形を前へ見て柄杓を掛る、
釜の蓋を置時は、柄杓を取左へ渡し、右手にて横になして、
人形の面を我左の方へ会釈置、夫へ蓋を置事能、
幾度も柄杓置時は堅に取直し置、蓋は兎角横になして置也
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<栄螺蓋置>

『茶道筌蹄』
大は真鍮、千家にては用ひず、小は唐金、利休所持

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<三人形蓋置>

『茶道筌蹄』
唐子三人手を組合せたる形なり
利休所持、原叟書付あり、和物也、冬木氏伝来

『茶道望月集』
三漢人の蓋置迚唐人三人並びたる形あり、
其中に羽織着たる人形有もの也、
夫を表として、四畳半炉にては真向になし、
風炉の向点の炉は前へなして置也

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<蟹蓋置>

『茶道筌蹄』
筆架をかり用ゆ

『雲集蔵帳』
「大名物 蟹蓋置 東山御物 紹鴎 利休 小堀 土屋 酒井雅楽頭」

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<三葉蓋置>
特に参考文献なし。

千鳥板ってこんなの

Category: 茶道具全般

動画は、千鳥板です。亀甲型は裏側も見せています。

千鳥板(ちどりいた)は、
裏千家では、
貴人清次で千鳥茶巾を載せるための、
炉縁の角を切った形(二等辺三角形)、
又は、平亀甲形の板で、
懐中して、席入りするようです。

材質は、桐・杉などがあるみたいです。

「今日」と焼印の入ったものや、
「いちょう」のマークの入ったものもあるそうです。

平亀甲形で、「いちょう」マークのあるものは、
裏に鋲が打ち込んであるものもあるようです。

千鳥板の別称として、鱗板と言う場合もあるが、
鱗板自体は、茶室の床脇に設ける、
三角形の板を指すこともあるため、
注意が必要である。
この鱗板は、織田有楽の「如庵」にあるとか。

千鳥茶巾は、遠州流では通常に用いるみたいです。

千鳥板は、貴人清次で、お供の人ようの茶巾を載せる台で、
千鳥茶巾を載せる。

なお、貴人に出す茶碗・茶筅・茶巾は、別に使われ、
茶巾も通常の折り方で、千鳥板ではなく、
釜の蓋の上に載せる。

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千鳥板は、炉の貴人清次の点前で用いるそうです。

風炉では用いないとか。

千鳥板は、千鳥茶巾を載せるための台みたいです。

千鳥板は、十一世玄々斎の草案になるもので、
炉縁の角を切られた形と言われているようです。

千鳥板の上には、千鳥茶巾が使われるそうです。

貴人清次の点前では、貴人は白竹の茶筅を使いますが、
お次は煤竹の数穂を使うみたいです。

千鳥板は、二寸五分の二等辺三角形の板だとか。

畳付けのしるしとして、ツボツボ・松葉などの、
焼き印が押してあり、体の向こう側向きに懐中して、
しるしのある方が、畳に付く約束になっているそうです。

歴代宗匠の花押があれば、
畳の上向きに置くみたいです。

懐中も逆向きだとか。

貴人清次の「清」という字が「貴人」を指し、
「次」という字が「御伴」を指している、
と言われているようです。

また、棚は更好棚を使わなくても良いそうで、
二重だな、または、棚なしでも良いとか。

■貴人と御伴の違い
茶碗と茶筅と茶巾を別にしているそうです。

また、お菓子は、貴人の場合、
高盃に、紙を敷いてお出しするようです。

■千鳥板の置く場所
「畳目、2つ目に炉縁の線に沿って置く」そうです。

これでは、分かりにくいかったので、
以下に、自分なりにまとめてみました。

本勝手点前で、
炉の亭主側へ、上から2つ目分、
炉縁の亭主側から見た右側の延長線上で、
交差する部分に置く、
ということみたいです。