訶梨勒(かりろく)は、
日本では、始め、訶梨勒の乾果そのものや、
銅・象牙で形を模したものを、
邪気払いとして柱にかけていたようです。
正倉院御物に鑑真和上が当時もたらしたといわれる、
「かりろくの実」として、一つ残されているそうです。
室町時代には、美しい緞子や綾絹の袋に、
五色の糸
(青[せい]黄赤[おうせき]白黒[びゃっこく])
で結ばれた、
十二個のかりろくの実を納めるようになるみたいです。
東山山荘に掛けられたといわれる足利義政好は、
長い五色の緒を飾り結びで垂らしてあるそうです。
足利義政に仕えた
同朋衆の著『御餝書(おかざりしょ)』に
「一かりろくとて柱飾なり」
とあるようです。
3000年もの昔から、
声ガレや胃腸薬としての薬効が知られていたようで、
「釈迦が涅槃に入ったことを知った、
釈迦の母(麻耶夫人)が、
天上から駆けつけ、
袋に入れた訶梨勒の実を投げるも、
沙羅双樹の木に引っかかり届かず」
という涅槃図で、
薬を届けようとする姿が描かれているそうです。
また、煎じ液には強い抗菌作用もあるみたいです。
近年では、訶梨勒といくつかの漢方を混ぜた
「WTTC」という薬に、
抗ガン作用があるとの報告もあるとか。
中国には仏教と共にインドから伝来したようで、
唐代の書物『新修本草』に
「訶黎勒」
と記載されているそうです。