茶道具販売　翔雲堂のブログ

誡堂作、銘「松風」です。
釜の湯のにえる音を松風といいますが、
松を渡る風の音とも思えば、
三保ノ松原や『源氏物語』も思われます。

櫂先と節の所の変化は見逃せません。

剛山作、銘「春霞」です。

「春霞」と言えば謡曲をすぐに思います。
能『羽衣』に
「春霞。たなびきにけり久かたの。
月の桂も花やさく。
げに花かづら色めくは春のしるしかや。」
とあります。

その他『枕草子』などもあります。
和歌にも詠まれています。

桜花のたくさん咲いている風景や、
薄いピンクの色彩が見えてきます。

茶杓の銘にふさわしく、
煤竹(すすだけ)にかかる霞が素敵です。

剛山作で、銘「山路」です。
「山路」の言葉から、
俳句・詩・和歌など多々思い浮かびます。

松尾芭蕉著『甲子吟行(野ざらし紀行)』に
「山路来て何やらゆかし菫草」
とあります。

熊野古道(世界遺産)などもあり、
昔の人の旅もしのばれます。
茶杓の色合いもいいです。

海松(みる)は、水松とも書きます。
古歌に
「海松刈る海女(あま)」
と詠まれています。

海辺の情趣を描いた吉祥文様になっています。

海松貝蒔絵棗の他、炉縁や建水・水次などに
海松の絵柄が見受けられます。

清楚な中に華やぎのある文様です。

四つの角にある小さな丸が
かわいいですね。

内側の竹皮と全体の
溜塗が、良くマッチしています。