1月 07, 2014
赤楽馬上杯 川崎和楽
Category: 茶碗
馬上杯の形で、特徴的なのは、
高台が長いので、持ちやすさが強調されます。
馬の上で、酒を飲む時に用いたものらしく、
高台には、穴があいているものもあります。
話がずれますが、馬上杯といえば、
王翰著『涼州詞』の夜光杯が思い浮かびます。
王翰著『涼州詞』に
葡萄の美酒夜光の杯
飲まんと欲すれば琵琶馬上に催す
酔うて沙上に臥すも君笑うことなかれ
古来征戦幾か回る
宮廷人のような人々が、
琵琶の音色に酔いしれ、
優雅に過ごす時に用いる杯。
一時の平和を謳歌する、
戦人の美意識を感じます。
映画『カサブランカ』のセリフに
「君の瞳に乾杯」とありますが、
人々の出会いと別れには、
何かしらの哀愁が漂っています。
旧制第一高等学校(現、東京大学)の「嗚呼玉杯」は、
理想と使命に燃える人々の心意気を歌っているそうです。
杯が満ちる時、人は次に来る人生の波を意識するのでしょうか。
杯、それは、人生の岐路に立たされた人の一時の安らぎ。
杯、それは、人々の希望に満ちた、未来への乾杯。
杯、それは、新たな一歩を目指す、若者たちの理想。
そして、人は杯を手に馬(未来へ続く手段)に乗り、
大きな選択をし旅立ち、未来へ続く夢を実現していくのかもしれません。