赤楽馬上杯 川崎和楽

Category: 茶碗


赤楽馬上杯



馬上杯の形で、特徴的なのは、
高台が長いので、持ちやすさが強調されます。

馬の上で、酒を飲む時に用いたものらしく、
高台には、穴があいているものもあります。

話がずれますが、馬上杯といえば、
王翰著『涼州詞』の夜光杯が思い浮かびます。

王翰著『涼州詞』に
 葡萄の美酒夜光の杯
 飲まんと欲すれば琵琶馬上に催す
 酔うて沙上に臥すも君笑うことなかれ
 古来征戦幾か回る

宮廷人のような人々が、
琵琶の音色に酔いしれ、
優雅に過ごす時に用いる杯。
一時の平和を謳歌する、
戦人の美意識を感じます。

映画『カサブランカ』のセリフに
「君の瞳に乾杯」とありますが、
人々の出会いと別れには、
何かしらの哀愁が漂っています。

旧制第一高等学校(現、東京大学)の「嗚呼玉杯」は、
理想と使命に燃える人々の心意気を歌っているそうです。

杯が満ちる時、人は次に来る人生の波を意識するのでしょうか。
杯、それは、人生の岐路に立たされた人の一時の安らぎ。
杯、それは、人々の希望に満ちた、未来への乾杯。
杯、それは、新たな一歩を目指す、若者たちの理想。
そして、人は杯を手に馬(未来へ続く手段)に乗り、
大きな選択をし旅立ち、未来へ続く夢を実現していくのかもしれません。

Comments are closed.