「[懐石家具]八寸」について
八寸(はっすん)は、ほぼ八寸角の片木(へぎ)木地の角盆で、
普通は赤杉の木地で出来ていて、角を曲げ、
縁の一方に綴目を見せているそうです。
千利休が京都洛南の八幡宮の神器から作ったといわれるとか。
懐石で、食事の段に続き、吸物椀が出て、
客が箸洗いを終わったころ、
亭主が左手に八寸、右手に銚子を持って出るようです。
■海のものと山のもの
一般的には酒の肴二種をのせ、客に酒をすすめ、
主客の盃の応酬をおこなうみたいで、
肴の二種というのは、
海のもの(動物性の生臭もの)と、
山のもの(植物性の精進もの)を、
客の数に亭主の分を加えて盛るのだとか。
趣向で、潤塗とか蒔絵物、形も末広とか塗三宝、
足付の型変りや、一閑などの盆を見立てたり、
陶磁器の類を用いることもあるそうです。
江戸期には硯蓋がよく用いられていたとか。
■二種の取り合わせ
それぞれ同杉、同色、同味にならないよう、
調理法・歯触りの異なる組み合わせにするそうです。
互いに対照的でありながら、
八寸の器に盛り付けた時に、
調和がとれているのが理想みたいです。
また、かまえすぎて、
二種共珍しいものとするのは良くないようです。
一種珍味があれば、あとの一種は、
旬の軽やかなものの方が、互いを活かせるとか。
■盛り方
八寸は、流儀により盛り方が異なるようです。
表千家では、綴じ目が向こう側に来るように置き、
左手前に山のもの、右向うへ海のものを盛り、
青竹の「両細箸」を添えるそうです。
裏千家では、左手前に海のもの、
右向うへ山のものを盛り、
青竹の「中節箸」を添えるとか。
武者小路千家では、左手前に海のもの、
右向うへ山のものを盛り、
青竹の「矢筈箸」を添えるみたいです。
■搔敷について
懐石では、搔敷(かいしき)は使わないそうです。
搔敷というの、食器に敷く笹の葉や木の葉のことみたいです。
ただ、取り回しやすいように、
サヤから出した枝豆や零余子(むかご)、
銀杏・黒豆などは、一人分ずつ松葉に刺すのが、
許されているそうです。
また、残肴は許されていないようですが、
伊勢海老の殻盛りなどに限っては認められているのだとか。