1月 29, 2015
「[懐石器物]焼物鉢」について
Category: 懐石道具
焼物鉢(やきものばち)は、
一汁三菜の三菜目にあたる、
焼物を入れる鉢だそうです。
一般的には客の数だけ焼物鉢に盛り込んで出し、
客は向付に焼物を取り、
鉢を次客に手送りするようです。
焼物鉢は、備前・信楽・織部などの、
手ごろな平鉢が多く用いられ、
「手鉢」という手の付いた鉢類も、
好んで用いられるみたいです。
■焼物鉢以前は引重(ひきじゅう)
焼物の器に陶磁器を使うようになったのは、
明治期以降ともいわれるとか。
むかしは焼物とはいわず、
引物・引菜(ひきな)と呼ばれたそうで、
引重と呼ばれる二段重ねの塗箱を用い、
上の重に香の物を、
下の重に焼物を盛り付けたようです。
古くは「香物(こうのもの)」が主菜に数えられ、
向付・煮物・香物で一汁三菜とされたものを、
余りに淋しいということで、
引重を用いて、主菜の香物を上の重に入れ、
それに添えて下の重に焼物を入れて、
出すようになったみたいです。
引重は、現在では、
あらたまった茶事のときに使われているとか。
■魚以外の焼物
焼物は主に魚の切り身を焼いたものが多いようですが、
別に魚以外のものを使って焼いてもかまわないそうです。
また、揚げ物や蒸し物でも良いとか。
例えば、貝類では、アワビやホタテ貝など、
その身自体が大きくて食べがいのあるもの、
野菜では、暑気ばらいに加賀茄子の田楽や、
長いもの付け焼など、
炉の季節だと、堀川ゴボウや筍の輪切りを、
焼いたものなども良いそうです。
精進もので、湯葉の付け焼や生麩は、
季節に関係なく使えるようです。
鳥獣類だとローストビーフや牛肉の鍬焼き(くわやき)、
合鴨をフライパンで焼いたものなど、
炉の季節には、うずらの山椒焼なども良いみたいです。