1月 07, 2014
紙がたばこ入れの素材として用いられたのは、日本に喫煙が広まり、
刻みたばこが携帯されるようになってから間もなくだそうで、
徐々にその紙には、柿渋・桐油・漆・蝋などを塗る防水加工、
強度を与えるための皺加工、燻加工などが施されていったようです。
寛文5年(1665年)刊行の『京雀』に描かれた合羽屋は、
和紙に桐油を塗って防水加工したものを雨合羽として用いていたそうです。
絵の中には、雨合羽の端切れでこしらえたらしい小さな袋物が並んでいるのだとか。
このような素朴な袋物が、時を経るに従い凝った作りの紙たばこ入れに発展していくそうです。
山東京伝(さんとうきょうでん)は、寛政5年(1793年)の暮れ、
江戸京橋に紙たばこ入れの店を開き商売を始めるそうです。
19世紀半ばになると、より耐久性を強めて革に似せた擬革紙が、
江戸橋四日市町の竹屋によって開発され、その擬革紙で作られた製品が人気を博すみたいです。
明治になると、この擬革紙の製法が応用され、
金属箔を押して艶をつけたものが壁紙としてヨーロッパに輸出されるようになるのだとか。
日本では、たばこ入れを毎日携帯するほどの日常品であるからこそ、
紙の加工技術が発達していったのですが、あまりに身近で手軽すぎたのか、
以降、日本では大切には扱われなくなるそうです。
当時の擬革紙製のたばこ入れはおろか、擬革紙の原紙さえも、
国内では、ほとんど現物を見ることができないとのことです。