1月 13, 2014
香次棗(溜塗) 北村葵春
Category: 棗
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海松(みる)は、水松とも書きます。
古歌に
「海松刈る海女(あま)」
と詠まれています。
海辺の情趣を描いた吉祥文様になっています。
海松貝蒔絵棗の他、炉縁や建水・水次などに
海松の絵柄が見受けられます。
清楚な中に華やぎのある文様です。
古くは『日本書記』の歌謡にも歌われ、
松と同様に神に依る木と考えられてきました。
その美しさは、
「花紅柳緑(花はくれない、柳はみどり)」
という言葉にも、よく表れています。
早春の柳の新芽のことは、
芽柳・芽張柳・芽吹柳と呼ばれてます。
また、しだれ柳は、
しなやかな糸に、新芽を吹き出し、
青柳の青々とした緑色は、
春の景色の代表と言えるでしょう。
溜塗の大棗で、全体的に山が描かれています。
見た目は地味なのですが、蓋裏に山・松・桜・川などの風景があります。
桜花の吉野山に桜が多いのは、
桜が蔵王権現の神木であるとされたことによるそうです。
歌舞伎「義経千本桜」の道行初音旅(吉野山)を思い出します。
棗の立上がりに桜の花びらが描かれているのがおしゃれです。
合口ばたの金箔も良いですね。
みどころは、蓋裏でしょうか。
拝見の時、客(正客など)に感動を与えることでしょう。