四滴茶入ってこんなの

Category: 茶入


今回の動画は、四滴(してき)です。

四滴とは、四つの茶器とも言われ、
油滴・水滴・弦付・手瓶の四種の
薄茶器を総称している言葉です。

四滴の扱いについて、
濃茶器に棗など(漆器)を用いた場合に
重ならないように使用します。

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四滴茶入(四つ茶器)は、水滴以外、本来、薄茶専用なのですが、
区分けとしてこの「茶入」のページに入れています。

四滴茶入は、以下の四つからなっているそうです。
・弦付(つるつき):口の上に半円形の弦があるもの
・手瓶(てがめ) :肩から胴に手がついたもの
・油滴(ゆてき) :肩に小さな注ぎ口があるもの
・水滴(すいてき):注ぎ口と手が付いているもの

替茶器(四滴茶入など)がある理由は、
利休形の黒塗棗を「濃茶」に用いた場合、
茶事の流れにおける「薄茶」では替茶器を用い、
前席の濃茶の棗と異なった姿を取り合わせるほうが好ましい、
といった背景からのようです。

他に、替茶器の役割として、
客の数が多いと、一つの茶器ではお茶の量が不足するため、その控えとして用いたり、
装飾的役割で、棚物を用いた時に終りに飾りを置いたり、
主茶器に添えて拝見に出したりするのだそうです。

仕付棚のある台目席・小間席などでは、黒塗棗などを荘ることがよくあるみたいですが、
濃茶の替茶器ではなく、薄茶用なんだそうです。
これは、佗びた席として道具組を考えた際にこのようになるようですが、
亭主の考えや嗜好によっては、派手な蒔絵の薄器を置く場合もあるのだとか。

同様に、菓子器の縁高も、蒔絵の薄器や焼き物の菓子器を使っていけないわけではないそうですが、
佗びた席と考えると、縁高の方が格調高く見えるような見えないような。

前瓦(前土器)ってこんなの

Category: 茶道具全般


こちらの動画は、前瓦(まえがわら)です。

前瓦は、風炉の火窓からの火気を防ぐために立てる、
面を取った半円形の素焼きの土器(かわらけ)のことだそうです。

前土器は、御神酒を頂く土器を少し欠き用いたのが始まりだとか。

鉄風炉には「赤の前土器」を用い、
その他には「白または雲華焼」を用いるようです。
酷暑には二枚重ねて用いることもあるとか。

珠光時代以前には用いられていないようで、
頬当風炉のように眉のない風炉が出来てから用いられるようになり、
眉風炉には用いませんでしたが、
堺の草部屋が初めて用いてから眉風炉にも用いるようになったとか。

風炉のサイズに合せ大きさも変え、
灰形により丸みの異なるものを用いるみたいです。

風炉には底の部分に「底土器」を用いることが多くなっているそうで、
これも風炉のサイズで大きさを使い分けるとのこと。

五徳の高さを合せるための「五徳瓦」と言ったものもあるようです。

■『源流茶話』より
薮内竹心著『源流茶話』にこんな話があるそうです。
前土器には、内曇りを用います。
中暑の頃には、中土器、
暑さの厳しい時には、大土器、もしくは二枚使い、
残暑には逆土器などが使われましたが、
時により扱いが異なり、
だいたい中暑・酷暑の時は、大・中の土器が用いられます。

逆土器、二枚土器は共に土器の立て方、灰形に習いがあります。

※内曇り:内側に黒い焦げのある白い素焼きの土器のこと。

■その他の文献
『茶道筌蹄』に
「前土器 白火色、原叟手造形、白火色四品あり」
とあるそうです。

『茶湯古事談』に
「風炉の前かわらけを、利休二枚かさねて立し事あり、
又わり目を上へなして立し事も有、
是等ハ炎暑之比ゆへ火気を坐中へ出さぬ用なりし、
然るに去茶人一年利休長閑なりし元三に風炉を用し事有とて、
二月の余寒烈しきに風炉を出し、
しかも前瓦を高々とたて、火をミせさりしかは、
心有客は内々わらひしとなん」
とあるみたいです。

『茶道要録』に
「前土器之事、図あり、火を顕すまじきが為也、
火気を押ゆる故に、酷暑の節は二枚重ても立る也、
冷しき時は一枚を下て立る、
恒は一枚を以て高下見合有べし、
歳若き者に此土器上を下へして、
直なる方をみせて立させたる事有、
総じて春秋は火を顕はし、夏はかくす也」
とあるようです。

茶箱 月点前の道具組ってこんなの

Category: 茶箱


月点前は、花点前=春、卯の花点前=夏 、月点前=秋、雪点前=冬、
と対応させた場合の、秋の季伝物点前だそうです。

裏千家十一代玄々斎が創案したもので、
香合も茶箱に仕組み、香をたくなど、茶箱点前中で最も美しい点前なんだとか。

玄々斎著『茶箱点前の記』に以下のような話があるそうです。
昔も今も茶道を学ぶ人たちは「茶箱」を携えて茶を飲んだ。
しかし、茶箱には点前の手順がなかった。
このまま、手順もなく、みだりに取り扱うのは良くない。

そこで、旅箪笥の習いにある茶の点て方の法に基づいて、
棚板を簡略化して四つに畳んだものを器居(きずえ)と呼び、
この上で茶道具を扱うよう定めよう。
もしくは箱の蓋やかけごの上でも、扱うと定めよう。
程良い方円の盆を用いるのもよいだろう、
などと考えたのです。

「月点前の扱いは唐物、雪点前の扱いは茶通箱、
花点前の扱いは小習事に添うべきもの」
と教え伝えていきなさい。
古老の人たちとよくよく考えて極めた私の趣意を、
ここに記しておく。

こうして「冬・秋・春」に対応した「雪・月・花」の茶箱点前ができるみたいです。
その後しばらくしてから、夏に対応する「卯の花点前」を考案するそうです。

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利休好の茶箱として、杉木地茶箱・桐木地茶箱・菊置上茶箱などが伝えられているそうです。

ここでは、利休好 菊置上茶箱について説明しようかと思います。

大小ある桐木地茶箱のうち、大きい方の桐木地茶箱を、
裏千家八代又玄斎一燈が写した菊置上茶箱は、
蓋裏に「利休写(花押)」と墨書しているそうです。
裏千家歴代が直書した茶箱として、最も初期のものの一つみたいです。

菊置上茶箱は、桐木地の長方形の箱で、
中に掛合(かけご)があるようで、
掛合には茶筅筒用の穴が開いているそうです。

茶箱のサイズは、高13.0cm、径20.0cm×13.8cmだそうです。
中身は、
・赤楽茶碗(玄々斎作)
・秋草蒔絵平棗(八代宗哲作)
・竹茶杓 銘:千代見草(玄々斎作)
・赤楽香合
・赤楽茶筅筒
・赤楽茶巾筒
・赤楽振出
みたいです。

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裏千家五代不休斎常叟好に、木地茶箱があり、
十代認得斎と十一代玄々斎が写しているそうです。

玄々斎の写しには、玄々斎筆の書付が添い、
箱蓋表に「三之内」と玄々斎が墨書しているそうです。

不休斎が好んだ茶箱に、「菓子箱新好之」とされる被蓋の菓子器を、
玄々斎は新たに追加したようです。

茶箱の下部に引き出しがあるそうで、
被蓋によって押さえる仕組みみたいです。

茶箱・菓子器共に、内部には金泥が施されているとか。

木地茶箱のサイズは、高9.4cm、径16.3cm×11.5cmだそうです。
中身は、
・唐津写茶碗(慶入作)
・古瀬戸写茶入(保全作)
・甲赤茶器(七代宗哲作)
・竹茶杓(玄々斎作)
・茶筅筒(七代宗哲作)
・染茶巾筒(保全作)
・菓子箱
みたいです。

茶箱用の茶筌ってこんなの

Category: 茶箱, 茶道具全般


茶箱用の茶筅は、通常の茶筅より一回り小さく、
かわいらしいのが特徴です。

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■茶筅の「筅」の字
茶筅の字はもともと鍋などの焦げ付きを落とす道具、筅(ささら)から来ているそうで、
芸術まで高められた高山の茶筅では「筌」の字を使うことが通例だとか。

高山宗砌が 村田珠光 の依頼で開発したのが茶筅の始まりだそうで、近松茂矩著『茶湯古事談』には、
「茶筌は 武野紹鴎 ~ 利休 の頃まで蓬莱の甚四郎、 利休 の頃には高山甚左が作ってそれぞれ天下一と言われた」とか
「高山甚左の子孫の甚之丞や、玉林も茶筌作りで名を馳せた」といったようなことが載っているみたいです。

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■茶筅通し
茶筅通しには、穂先を湯に馴染ませ柔らかくして折れにくくする効果があるそうで、
最初の茶筅通しは、軽くサラサラとお湯に馴染ませるようにすれば良いみたいです。

戻ってきた茶碗に対する茶筅通しは、茶碗と茶筅を同時にすすぐため、
茶筅の穂先に付いたお茶を落とすようにして振るのだそうです。

点てる前を「茶筅湯じ」、点てた後を「茶筅濯ぎ」と呼んで区別することもあるのだとか。

茶筅を上下するのは、穂先を目前で改めて折れや汚れのないことを確かめる意味があるそうで、
予め水屋で穂先が折れていないかを確かめ、次に軽く水にくぐらせ清め茶碗に仕組んだものが、
問題ないかを、改めて確認するようです。

茶筅を茶碗の縁で軽く音を立てる動作は、
真言密教の灑水(しゃすい)の礼に由来した浄(きよ)めの意味があるのだそうです。

ちなみに、灑水(洒水)というのは、密教の儀式を行う前に道場や法具などに香水(こうずい)をかけ、
煩悩や穢れを浄めることだそうです。

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■貴人清次
なぜ、そうなのかはよくわかりませんが、
裏千家の貴人清次では、
茶筅は貴人の「清」が白竹に対して、
「次」は煤竹の数穂を用いるのだそうです。

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■茶筅の大きさ
茶筅の大きさは、通常は3寸7分(12cm弱)ほどですが、
西大寺の大茶盛(おおちゃもり)で用いられる茶筅は、
高さ1尺2寸(約36cm)もあるみたいです。

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■茶筅の紐
茶筅の紐は、からみ糸・かがり糸などと呼ばれるそうです。
通常は黒の糸を用いるようですが、
流派や趣向によって白や赤の糸を用いることがあるとか。

赤糸の茶筅の代表的なものが、
長寿の祝い事に用いられる祝茶筅みたいです。
還暦や古希では元節、喜寿や米寿では節無しとするのだとか。

釣釜用具ってこんなの

Category: 茶道具全般


動画は、釣釜を掛ける用具のセットです。

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ここでは自在鉤について説明します。
囲炉裏道具として使われる「自在鉤」、
鍋や湯釜などを吊るし、高さを変えることで火力調整のできる優れた道具で、
五徳を使わないことで火元に障害物がなくなり、薪をくべやすくする働きもあるとか。

ただ、世界遺産白川郷や、かやぶきの里京都府美山集落の囲炉裏にはほとんど自在鉤は存在せず、
かわりに、種々の大きな五徳(金輪)が多く見られるみたいです。

「自在鉤」の構造としては、「中通し式」「スライド式」「縄掛け式」「空鉤」「その他」があり
中でも、固定された「吊り棒」と上下する「鉤棒」でスライドさせるタイプと、
折り返した縄の長さで調整するものの2種類が代表的なんだそうです。

この中で「中通し式」についてだけ説明すると、
竹・木筒・鉄・真鍮・縄などさまざまな材料で作られているようで、
飲食店の装飾としてもよく使われているのだとか。

横木は魚型などで、鍋をかけると魚の頭が下がり尻尾が上がって
魚と縦棒の摩擦でストップする仕組みだそうです。
そのため鍋を下ろさないと高さ調整ができないとか。

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釣(つる)は、茶の湯釜を炉に吊るための道具のひとつで、
釜の鐶にかけて、鎖や自在の鉤へかけるための、
把手(とって)のことみたいです。

釣は、「弦(つる)」「釜釣(かまつり)」
「釜弦(かまつる)」ともいうそうで、
釣も「つる」の他、「つり」と読む場合もあるみたいです。

馬蹄形に近い半円状で、両端が上に反って、
鉤状になっているそうで、釜の左右の鐶付に、釜鐶を通し、
それに釣をかけることにより釜を吊るようです。

鉄や真鍮製で、象嵌入り・彫文様入り・虫喰のものがあるとか。

利休形として、
・真鍮の木瓜形(もくこうがた)、
・鉄の丸釣(まるつる)、
・鉄の鎌刃形(かまはがた)
の三種があるようです。

木瓜形は雲龍釜・鶴首釜など、
丸釣は、四方釜に、
鎌刃形は小丸釜・小尻張釜・阿弥陀堂釜などに用いるみたいです。

稲垣休叟著『茶道筌蹄』に
「釣 真チウ木爪は雲龍にもちゆ、
 鉄丸は四方にもちゆ、
 鉄鎌の刃は小丸、小尻張、大ぶりなるカマにもちゆ、
 千家に此三つを一箱に入て如心斎書にて利休所持とあり、
 それゆへ当流は此三品をもちゆ、
 此外に達磨堂にもちゆる真鍮丸ツルあり、
 片端にアガキあり」
とあるそうです。

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釣釜には、雲龍・車軸・鶴首といった細長い、
小さめのものを使用するそうです。

三月に釣釜にするのは、この春の風情を楽しむことと、
炉中に撒かれた灰が増える、炉の終わりゆく時期に思いを馳せる、
という意味があるみたいです。

釣釜は、広間と小間では室礼が異なるようです。
広間では天井に打たれた蛭釘に「鎖」を、
小間では竹や植物の蔓などで出来た「自在」を下げて、
その先に釜をかけるのだとか。

小間で使用される「自在」は、
秋の収穫後家族が集まって囲炉裏を囲む姿から編み出されたようです。

「自在」の上には、飾りとして木彫りの魚がついていることがあるみたいですが、
これは囲炉裏の火の卦に対して、水の卦を配置し、
火伏せの意味があったそうです。