「[懐石器物]向付(向/お向)」について

Category: 懐石道具

向付(むこうづけ)は、
折敷の手前に飯碗や汁碗が置かれ、
その向う正面に置き付けるところからの名みたいです。

主に魚介類の造り身が盛られるとか。

酢の物や和え物にしても良いようです。

朝茶事では、生身は使わない方が良いそうで、
風干しや、ひと塩ものを火取り、野菜と和えたり、
極寒の夜咄では、あつあつの湯葉や風呂ふきを
出したりもするとか。

「何もございませんが粗飯を」との挨拶の後、
最初に膳に載せて持ち出されるのが、
向付みたいです。

向付は、懐石が終わるまで、
焼物や預鉢の料理を取り分ける器になるそうです。

向付は、春季には明るい色調のもの、
夏季には染付の平皿風のものや、
涼味を感じさせる義山(きやまん)が用いられるようです。

秋季には「割山椒」など地味な侘びたもの、
冬季には筒型の少し深い「筒向(つつむこう)」や、
蒸物などの温かいものを盛る蓋付の「蓋向(ふたむこう)」が、
多く用いられるとか。

ただ冬季でも夜咄では「筒向」では中が見えにくいので、
避けるそうです。

向付は、深い鉢形を「深向(ふかむこう)」、
浅い皿形のものを「平向(ひらむこう)」といい、
深い器形の向付を「のぞき」ともいうようです。

「寄向(よせむこう)」といって、
名残などのときに、一同に揃いの物を出さず、
ひとりひとり別々のものを使うこともあるみたいです。

まとめると、以下の様な感じです。

種類 備考
割山椒 山椒の実が3つに裂けた形。
筒向 円筒形で底が深くなったもの。
上から覗き込まないと中の料理が見えないことから、
古くは「のぞき」の別名もあった。
蓋向 蓋付きの向付。
深向 深い鉢形の向付。
平向 浅い皿形の向付。
のぞき 深い器形の向付。
寄向 それぞれの客に異なる器を出す。


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