「[懐石家具]湯桶(湯次/湯斗)」について

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湯桶(ゆとう)は、共の盛蓋付の円筒形で、
胴に注口と把手が付いた、
食後に出される「湯の子」を入れる器のことだそうです。

湯桶には、湯桶と同じ素材でできた
「湯の子すくい」という細長い柄が、
直角に付いた杓子が添っているようで、
これで湯の子をすくうみたいです。

利休形は、黒塗りで、
風炉には、金属製の湯次・湯の子すくいを、
用いることもあるとか。

■湯の子について
湯の子は、二飯器めを出した後、
釜の飯をあけ、釜底に残ってくっついている飯を
弱火で焦がしておこげをはがすそうです。

このおこげを湯桶に移し、
ほんの少し塩加減をした湯を注ぎ入れるようですが、
塩加減は、その時使う香の物と、
沢庵の味とのバランスを考えて調味するみたいです。

■持ち出し方
長盆(脇引)に向かって左側、
口が右を向くように湯桶を、
右側に香の物鉢を載せ、
湯の子すくいを二つの前に置いて、
持つ出すそうです。


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「[懐石家具]飯器(飯次/食次)」について

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飯器(はんき)は、共の盛蓋付の低い寸胴形の飯櫃(めしびつ)で、
杓子が添っているそうです。

飯櫃は、炊き上がった飯を移し入れておく器で、
「おひつ」「おはち」などとも言うようです。

多くは木製で、白木(サワラ材)や漆器のものがあるとか。

蓋の形状によって「つめびつ」「のせびつ(関西櫃・地櫃)」
「かぶせびつ(江戸櫃)」があるようです。

朝茶などには、竹組の飯器/金物の杓子を、
用いることもあるとか。

利休形は、黒塗りで、炉用は手なし、
風炉用は手付きみたいです。

新しいものは、木肌がなれないから、
木の香が飯に移ることがあるみたいです。

木の香を抜くには、熱湯で満たし、
これに少量の酢を加えるということを、
数回繰り返せばよいそうです。

■歪の語源
飯櫃(めしびつ)は、飯櫃(いいびつ)とも読めるのですが、
「いいびつ」から転じて
「歪(いびつ)」という語が生まれたみたいです。

昔の飯櫃は、楕円形だったそうで、
楕円形は綺麗な円形でないことから、
江戸時代以降、形や状態が歪んでいる意味として、
用いられるようになったとか。


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「[懐石家具]八寸」について

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八寸(はっすん)は、ほぼ八寸角の片木(へぎ)木地の角盆で、
普通は赤杉の木地で出来ていて、角を曲げ、
縁の一方に綴目を見せているそうです。

千利休が京都洛南の八幡宮の神器から作ったといわれるとか。

懐石で、食事の段に続き、吸物椀が出て、
客が箸洗いを終わったころ、
亭主が左手に八寸、右手に銚子を持って出るようです。

■海のものと山のもの
一般的には酒の肴二種をのせ、客に酒をすすめ、
主客の盃の応酬をおこなうみたいで、
肴の二種というのは、
海のもの(動物性の生臭もの)と、
山のもの(植物性の精進もの)を、
客の数に亭主の分を加えて盛るのだとか。

趣向で、潤塗とか蒔絵物、形も末広とか塗三宝、
足付の型変りや、一閑などの盆を見立てたり、
陶磁器の類を用いることもあるそうです。

江戸期には硯蓋がよく用いられていたとか。

■二種の取り合わせ
それぞれ同杉、同色、同味にならないよう、
調理法・歯触りの異なる組み合わせにするそうです。

互いに対照的でありながら、
八寸の器に盛り付けた時に、
調和がとれているのが理想みたいです。

また、かまえすぎて、
二種共珍しいものとするのは良くないようです。

一種珍味があれば、あとの一種は、
旬の軽やかなものの方が、互いを活かせるとか。

■盛り方
八寸は、流儀により盛り方が異なるようです。

表千家では、綴じ目が向こう側に来るように置き、
左手前に山のもの、右向うへ海のものを盛り、
青竹の「両細箸」を添えるそうです。

裏千家では、左手前に海のもの、
右向うへ山のものを盛り、
青竹の「中節箸」を添えるとか。

武者小路千家では、左手前に海のもの、
右向うへ山のものを盛り、
青竹の「矢筈箸」を添えるみたいです。

■搔敷について
懐石では、搔敷(かいしき)は使わないそうです。

搔敷というの、食器に敷く笹の葉や木の葉のことみたいです。

ただ、取り回しやすいように、
サヤから出した枝豆や零余子(むかご)、
銀杏・黒豆などは、一人分ずつ松葉に刺すのが、
許されているそうです。

また、残肴は許されていないようですが、
伊勢海老の殻盛りなどに限っては認められているのだとか。


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「[懐石家具]吸物椀(小吸物椀/一口椀/箸洗)」について

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吸物椀(すいものわん)は、小さな蓋付きの塗椀で、
八寸の前に煮物椀と引き替えで席中に出されるものだそうです。

吸物椀は、一汁三菜を賞味し終えた後、
主客の献酬が行われるみたいですが、
その前に、今まで使った箸の先を洗い清め、口の中をすすいで、
改めるという意味の吸い物なんだそうです。

一口椀と言うように、一口位でいただける分量にするのだとか。

単なる白湯(さゆ)では物足りなく、
何かの心入れを、との思いから、
昆布の香りをうっすらと付けたり、
ごく少量の塩を入れたり、
梅干しを少量入れ、梅の香りを付けたりと工夫するみたいです。

そして、この汁の中に季節の移ろいを感じさせるような、
珍しい野草の芽や実、
木の実、またはそれらの小片や薄切りにしたものなどを、
ほんの少し浮かせるそうです。

こうすることで、吸物椀が、
次に出てくる八寸の二種類の肴の味を引き立てるのだとか。

■吸物椀の具
吸物椀に入れる、ちょっとした具の例です。

・[篠竹(しのだけ)]:稈(かん)が細く群生するタケササ類の通称。
・[蕎麦の実]:タンパク質やビタミンB群も豊富とか。
・[零余子(むかご):植物の栄養繁殖器官のひとつ。
・[海藤花(かいとうげ):マダコの卵またはその塩蔵品。
・[ちぎり梅]:梅の実をちぎったもの。
・[梅のじん]:梅の核の部分。
・[イワナシ]:ツツジ科イワナシ属の常緑小低木。
 果実は緑色から赤褐色の果皮に包まれ、ナシのような甘味がある。
・[花山椒]:山椒の雄花。なお、サンショウの実が成るのは雌株のみ。
・[長ヒジキ]:褐藻類ホンダワラ科ホンダワラ属の海藻の1種。
・[針山葵(わさび)]:わさびは、アブラナ科ワサビ属の植物で、日本原産。
・[南京の種]:カボチャ(南瓜)の種。
・[針茗荷]:ミョウガは、ショウガ科ショウガ属の多年草。
 食用となるのは、花穂部分。
・[白木耳(きくらげ)]:キクラゲ科のきのこ。
 中国では古くから不老長寿の薬として珍重された。
・[針生姜]:ショウガ科の多年草。
・[蓮の実]:ハス科多年性水生植物の種。
 柔らかな皮の中に白い蓮の実が入っている。
・[山独活(うど)の芽]:ウコギ科タラノキ属の多年草。
・[鱧(はも)のフエ]:ウナギ目・ハモ科に分類される魚の浮袋。
・[芽蓮根]:ハス科多年性水生植物の地下茎。
・[松の実]:マツ科マツ属の植物の種子の胚乳。
・[菊花]:食用菊。
・[タピオカ]:トウダイグサ科のキャッサバの根茎から製造したデンプン。
・[椎の実]:ブナ科クリ亜科シイ属の樹木の実。
・[葛そうめん]:葛粉を用い、そうめんのように乾燥して仕上げたもの。
・[バジルシード]:シソ科メボウキ属の多年草・バジル(バジリコ)の種。


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「[懐石家具]煮物椀(菜盛椀/平)」について

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煮物椀(にものわん)は、
飯碗や汁碗より大きくて浅めの蓋付きの塗椀で、
懐石の主菜である煮物を盛り付けるものだそうです。

はじめは、四つ椀のうちで同色同塗同意匠のもので、
形が大きくて浅めの「平椀」だったものを、
後に趣向で種々の物が用いられるようになったようで、
椀蓋の甲・裏、椀の見込みに蒔絵を施したみたいです。

和食店などでは陶磁器製なども用いるそうです。

■懐石での煮物
一献目の酒が出された後、
一汁三菜の二菜目に当たるのが煮物碗みたいです。

煮物は、懐石のメインに相当する料理で、
しんじょ・麩・湯葉・野菜などを色取りよく盛り、
すまし汁仕立てにすることが多いのだとか。

煮物の前か後に、飯次(飯器)が出されるそうです。

飯次には、人数分の飯が入っているようで、
客は各自の飯碗にお替りの飯を付けるようです。

また、亭主から汁替えが勧められ、
味噌汁のお替りが運ばれるとか。


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