「曲物」の製造工程

Category: 建水, 製造工程

ここでは、曲物の作り方を説明しようと思います。

1.側板の作成 節のない、目の詰んだ木曽ヒノキを材料として選定し、薄板を挽きます。
2.キメかき 側板は、曲げてから約5cm~6cmののりしろで重ね合わせて閉じますが、そのまま閉じると合わせ目の厚みが倍になってしまうため、この段階で合わせ目をそれぞれ斜めに削り、厚くならないようにしておきます。
3.側板を煮る 特製のトタン容器にお湯をはり、キメをかいた側板を入れます。
板が浮かないように上から板とおもりでしっかりとお湯に沈め、約80度のお湯で40分間煮ます。
4.曲げ 側板をお湯から出し、「ほた」という道具に板をはめて、一気に曲げます。
この曲げ作業で曲物の形が決定します。
大きさの違う「ほた」を使い分けて身と蓋の側板を曲げていきます。
5.乾燥 曲げた板は「ほた」からはずし、木ばさみで挟んで「くち」で留めます。
「木ばさみ」と「くち」で合わせ目を固定して一昼夜かけて乾燥させます。
6.閉じ 合わせ目を糊付けして閉じます。
糊が乾いたら桜の皮で縫います。
最初に「木さし」という道具を使って、桜の皮が通る穴を空けていきます。
桜の皮は道具で鞣し、薄くしてから細長く切って使います。
木さしで空けた穴に一つ一つ手作業で桜の皮を通し、縫っていきます。
7.蓋板・底板をはめる 完成した側板の縁に糊を付け、楕円に切った板をはめます。
板は目の詰んだ木曽サワラを選んで、既定の厚さに仕上げて使います。
8.仕上げ~白木地完成 面取りカンナとペーパーを使って面を仕上げてできあがりです。
爪などで木地を傷つけないように気をつけて仕上げていきます。
これで木地はできあがりです。
9.漆塗り~製品完成 白木地に漆を塗ります。
木に刷毛を使って漆を擦り込むように塗ることから「すり漆」仕上げと言われます。
木によって艶のでないものは余分に塗って仕上げます。
「漆を塗って、漆が乾いたらペーパーで面を研いで拭き取る」という作業を4回繰り返してやっとできあがりです。


建水

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「金谷五良三郎」について

Category: 茶人・茶道作家

江戸初期よりの京都の金工師、
金谷五良三郎の歴代の名前を言ってみます。

当代は十五代目みたいです。
初代 金家 道円
二代 金家 日随
三代 金家 即円
四代 金家 円心
五代 金家 一良
六代 金家 宗円
七代 金家 一乗
八代 金家 日円
九代 金谷 良器(「金谷」と改めた。)
十代 金谷 日祐
十一代 金谷 道器
十二代 金谷 常行
十三代 金谷 作善
十四代 金谷 鷹司
十五代 五良三郎(当代)

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「金工」の製造工程

Category: 茶人・茶道作家, 製造工程

金工の製造工程は、以下のようになるみたいです。

モデル(原型) 製品寸法より大きくする「縮みしろ」を計算して鋳造品用の原型を作る。
鋳造(鋳金) 鋳型の空洞部に金属類を流し込んで凝固させ「鋳物」を作る。
鍛金(打ち物) 打ち延ばしたり、縮めたりして製品を作る。
金属を塊から打ち伸ばす「鍛造」と金属板を加工する「鍛金」があるとか。
仕上げ 金属研磨・彫金・溶接などで求める表面を作る。
伝統的着色
(古代色)
酸化処理や硫化処理をして完成。

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「野がかりの茶杓」とは

Category: 茶杓, 茶道史

茶杓は、 珠光 ~ 紹鴎 の時代までは
「節なしの長い竹」を用いていたそうです。

利休の頃より、長さを短くし中間に節が置かれるものが
好まれるようになったみたいです。

そして、節を元に寄せるようにして作れた茶杓。ちょっと物語風に書くと、

 「ある日、 利休さんが茶籠を持って外に出かけ、
 お茶を一服しようとしたとき、
 茶杓を忘れたことに 気づいたそうです。

 あたりを見回し、いろいろ探し、
 いったいどれだけ経ったのでしょう。
 ようやく茶杓に使えそうな竹を見つけ出しました。

 利休さん、元の方に節があるこの短い竹で、
 一本の茶杓を削り出します。」

この茶杓を「野がかりの茶杓」と言うそうです。

お話はここで終わりますが、
その後、お茶を飲んだんでしょうね、きっと。

茶杓

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「禅語」の茶杓の銘

Category: 茶杓, 茶道史

禅語の茶杓の銘としては以下があるみたいです。

 拈華微笑(ねんげみしょう)/ 知足(ちそく)/
 無功徳(むくどく)/ 無心(むしん)/  直心(じきしん)/
 平常心(へいじょうしん)/ 無事(ぶじ)/
 関(かん)/ 無一物(むいちぶつ)/ 放下著(ほうげじゃく)
この中でも特に有名なのが「無一物」でしょうか。

無一物というのは、蘇軾著『東坡禅喜集』の
 がんそ画(え)かず意高き哉
 若(もし)丹青(たんせい)を著(つ)くれば二に堕し来る
 無一物(むいちぶつ)中、無尽蔵(むじんぞう)
 花あり月あり楼台あり
から来ていて、要は
 「煩悩を払って心に一物も持たない爽やかな心境でいれば、
 すべてのものが自分の心の中に入ってくる」
という意味になるのだとか。

国宝「待庵」の竹を使って辻竹峰が作った茶杓にも
「無一物」の銘がついているそうです。

京都の妙喜庵にある「待庵」は、
日本最古の茶室建造物で、
千利休作と信じうる唯一の現存茶室のようです。

茶杓

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