山水蒔絵香合 田原一斎

Category: 香合


山水蒔絵香合



丁寧な仕事の蒔絵です。

山・水・松というと、
古今集・東歌の
「君をおきてあだし心を我がもたば末の松山波も越えなむ」
から取られた百人一首
「契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波こさじとは(清原元輔)」
が連想されます。

また、源氏物語「第十三帖明石」にも
「うらなくも思ひけるかな契りしを松より波は越えじものぞと」
などとあり、
これらを思うと悲しい恋心も伝わってきます。

五福香合 伊藤表正

Category: 香合


五福香合



古代文字で書かれた「五福駢臻(ごふくへんしん)」をモチーフに
「五福ならびいたる」(五福がそろって集まりますように)という
願いを込めた作品です。

みどころとしては、朱塗りと金の色の取り合わせがおめでたく、
文字をデザイン化し、左側に寄せたところが、芸術的に思います。
黄金比を意識しているのかもしれません。

高取水指 亀井楽山

Category: 水指

高取水指



亀井家の高取の水指、通常、上品で格調が高いので、
濃茶の上のお点前にも使えます。

一方、この高取水指は、華やかで若々しさを感じます。
大寄せの茶会など、どんどん使い込んで行くことで、
その価値があがることでしょう。

茶会のメインとしてこの水指はおすすめです。

釉薬が全面にかかっていることや、
肩の部分の丸みなど、
全体的に姿がおもしろいですね。

塗蓋の出来も良いように思います。

箱書は、鵬雲斎大宗匠のお若い時の字でしょうか。

瀬戸茶入・万代屋緞子・大燈金襴 佐久間勝山

Category: 茶入

瀬戸茶入



一般的には、茶入に仕覆は一つですが、
三つ四つと持っている茶入もあります。
洋服で言えば、着替えを持っているということになります。
すごくお洒落と言えるのではないでしょうか。

緞子と金襴という違った切地を持っているため、
茶会によっては、違った使い道があると思います。
また、瀬戸茶入なので、幅広く使えます。
全体の姿も美しいです。

鵬雲斎大宗匠の箱書の字は、細いけれども力強い感じを受けます。
割合お若い時の字なのでしょうか。

大樋飴茶碗 九代大樋長左ェ門

Category: 茶碗


大樋飴茶碗



手にフィットすることうけ合いです。
使い込むほどに良い色になり、
お茶を入れた時の温かみが、手に直に伝わります。

この長左ェ門氏は、楽一入氏の弟子で、
端正な作風が色濃く出ています。