2月 14, 2015
食事にかかせない箸について、
何回かに分けて、説明しようかと思います。
■箸の歴史
殷墟(紀元前14世紀~紀元前11世紀)からの、
青銅製の箸6本が出土しているそうです。
食事用ではなく菜箸のような調理器具であったようです。
食事用の使用例としては、殷の帝辛(紀元前10世紀)が、
象牙の箸を使用したという逸話が『史記』及び、
『韓非子』にあるみたいです。
中国の戦国時代の記述に現れる「箸」は、
竹製みたいで、竹の棒の中央部分を加熱して曲げて作った、
トングに由来する「竹筴」と呼ばれるピンセット状のものが、
湖北省随県曾侯乙墓から出土しているそうです。
その後、孔子の「君子厨房に近寄らず」の格言に基づき、
刃物等を食卓上で使うことに反対したため、
料理はあらかじめ厨房でひと口大に、
箸にとりやすい大きさに切りそろえられるようになり、
箸が普及していったみたいです。
■日本の箸
日本では、弥生時代末期の遺跡から一本の竹を折り曲げ、
ピンセット状の形にした「折箸」が発見されているそうです。
これは、神に配膳するための祭祀・儀式用の、
祭器として使われたものみたいで、
食べ物を口に運ぶためではなかったようです。
『三国志』魏志倭人伝によると、
邪馬台国においては、手で飲食しているとあり、
箸の使用は記述されていないみたいです。
食事用の箸として正式に使用した例は、
聖徳太子だそうです。
607年遣隋使として派遣された小野妹子一行が、
持ち帰った箸と匙をセットにした、
食事作法を取り入れたものと言われるとか。
■嫌い箸(忌み箸/禁じ箸)
箸食文化圏においてマナー違反とされている、
箸の使い方があるそうです。
嫌い箸について以下にまとめてみます。
種類 |
備考 |
握り箸 |
二本の箸を鷲づかみにして食事に使う所作。 |
拝み箸 |
両手で箸をはさみ、拝むようにする所作。 |
横箸 |
箸を二本揃えて、スプーンのように食べ物を掬い上げる所作。
または、箸を舐める所作。 |
違い箸 |
種類・材質の異なる箸を一対で用いる所作。 |
返し箸・逆さ箸 |
複数人で食べる料理を個に取り分ける際、
箸を上下逆さにして用いる所作。 |
ちぎり箸 |
箸を両手に1本ずつ持って、
ナイフとフォークのように料理をちぎる所作 |
突き箸・刺し箸 |
料理に箸を突き刺して食べる所作。 |
仏箸・立て箸 |
箸をご飯に突き刺して立てる所作。 |
合わせ箸・拾い箸・
箸渡し |
箸から箸へ料理を渡す所作。 |
叩き箸 |
箸で食器を叩いて音を立てる所作。 |
振り上げ箸 |
箸を手の甲より高く振り上げる所作。 |
指し箸 |
箸で人や物を指し示す所作。 |
持ち箸 |
箸を持った手で同時に他の食器を持つ所作。 |
受け箸 |
箸を持ったままでおかわりをする所作。 |
寄せ箸 |
遠くの食器を手元に引き寄せるために、
箸を使う所作。 |
空箸 |
食べようとして料理に箸を伸ばしたにもかかわらず、
口に運ぶことをやめて箸を引いてしまう所作。 |
迷い箸・惑い箸・
なまじ箸 |
どの料理を口にしようかと迷い、
料理の上であれこれと箸を動かす所作。 |
移り箸・渡り箸 |
おかずを食べた箸でまたおかずを食べること。
現在では嫌い箸とみなされない。 |
挵り箸・せせり箸 |
箸で食物を尖った物で繰り返しつつく所作。 |
楊枝箸 |
箸を爪楊枝代わりに使う所作。 |
涙箸 |
汁が滴りやすい料理を食べる際、
それを取った箸から汁を滴らせながら口に運ぶ所作。 |
探り箸 |
箸を椀の中でかき回して探る所作。 |
洗い箸 |
汁物などで箸を洗う所作。 |
捥ぎ箸(もぎばし) |
箸に付いた米粒などを口で捥(も)ぎ取る所作。 |
舐り箸(ねぶりばし) |
箸を舌で舐める所作。 |
咥え箸 |
箸を口に軽く挟んで支える所作。 |
噛み箸 |
箸を噛む所作。 |
掻き箸 |
食器に口を付け箸で食べ物を掻き込む所作。 |
橋箸・渡し箸 |
箸休めのときに箸を器の上で横にかける所作。 |
揃え箸 |
箸を食器等に突き立てて揃える所作。 |
直箸 |
取り箸を使わずに個人の箸で、
直(じか)に取り分ける所作。 |
透かし箸 |
骨付き魚の上側を食べた後、
骨越しに裏側の身をつついて食べる所作。 |
撥ね箸(はねばし) |
嫌いなものを箸でのける所作。 |
重ね箸・片付け食い・
ばっかり食べ |
他にもあるなかで一つの料理ばかりを食べ続ける所作。 |
込み箸 |
箸を使って口の中に大量に食べ物を詰め込みほおばる所作。 |
落とし箸 |
食事中に箸を床に落とす所作。 |
「懐石道具」に関するページは、こちらから。
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2月 11, 2015
懐石料理を作るのに欠かせないものの1つが、
包丁でしょうか。
包丁は、かつて「庖」が当用漢字外とされたため、
同音の「包」で代用することが多いのですが、
本来は「庖丁」みたいです。
■庖丁の語源
「庖」は調理場を意味するようです。
また「丁」はそこで働く男、
つまり「庖丁」の原義は
「料理人」のことになるそうです。
『荘子』の「養生主篇」に、
魏の恵王の御前で、ある庖丁が見事な刀捌きで、
牛一頭を素早く解体して見せ、王を感銘させる記事があるとか。
彼の使用した料理刀を後に庖丁と称し、
これが日本語読みで「ほうちょう」となったみたいです。
■包丁の種類
包丁には、以下の様な種類があるようです。
種類 |
備考 |
和包丁 |
出刃包丁 |
魚や鳥等を解体するときに使う。
厚く重い包丁で、形状は三角形。 |
薄刃包丁 |
野菜全般を切るための包丁。 |
菜切り包丁 |
両刃で切っ先が丸い。 |
刺身包丁 |
刺身を引くための包丁。
刃渡りが長い。 |
三徳包丁 |
[万能包丁]家庭で一般的に使われている包丁。 |
身卸包丁 |
捌きから刺身を引くまで出来る。
出刃包丁の刃をやや細く長くしてある。 |
舟行包丁 |
[万能包丁]多くの料理道具を携帯できない、
釣り船などに持ち込む。 |
鮪包丁 |
[特殊包丁]マグロの解体用。 |
鰻裂き |
うなぎを捌く包丁。 |
穴子包丁 |
アナゴを捌く包丁。 |
鱧切り |
[特殊包丁]ハモの骨切り用。 |
附庖丁 |
[特殊包丁]かまぼこの成型用 |
フグ引き |
[特殊包丁]フグの刺身用。 |
鰹包丁 |
[特殊包丁]カツオ用。 |
麺切包丁 |
麺を切るための包丁。 |
寿司切り |
[特殊包丁]巻き寿司用。 |
餅切り |
[特殊包丁]餅用。 |
豆腐切り |
[特殊包丁]豆腐用。 |
寒天切り |
[特殊包丁]寒天用。 |
西瓜切り |
[特殊包丁]スイカ用。 |
菓子切り |
[特殊包丁]羊羹用。 |
洋包丁 |
牛刀 |
刃渡りが長く大きい肉切り包丁。 |
筋引 |
ヒレ肉のスジを切り離す、長く細身の包丁。 |
カービングナイフ |
肉の塊を切り分けるのに使う。 |
スライサー |
薄切り肉や刺身、ハムなどのスライス用。
刃先には丸みがある。 |
クレーバー |
肢の関節を叩き切るなど鉈(なた)のように使う。
刃が厚く重く、形状は四角形。 |
骨スキ |
骨から肉を切り剥がすため用。 |
ガラスキ |
鶏など丸鳥の解体用。
刃が厚く長い。 |
フィレナイフ |
[万能包丁]刃がやや細く長い。
刃は弾力性が高く、ほんの少し背のほうへ反っている。 |
洋出刃 |
牛骨を刃の背で砕いたりする。刃が厚く頑丈。 |
ペティナイフ |
[万能ナイフ]野菜・果物の皮むき、飾り切りなど。 |
パン切り包丁 |
切断面近くの組織をつぶさないように、
刃厚が薄く幅が狭い。 |
その他 |
中華包丁 |
[万能包丁]身幅が大きく、刃は四角い。 |
中華包丁上海型 |
魚おろし用の切っ先を持つ三角形。 |
冷凍切り包丁 |
冷凍した食材をスライスする。
刃先がギザギザの波刃。 |
ケーキナイフ |
ケーキ用。 |
チーズナイフ |
チーズ用。 |
シェルナイフ |
貝をむく貝むき用。 |
「懐石道具」に関するページは、こちらから。
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2月 10, 2015
石盃(せきはい/いしさかずき)は、
茶事にだされる懐石に用いる、
陶磁器の盃のことだそうです。
引盃にたいする呼称なのだとか。
それぞれ異なったものを客の数だけ取合せ、
通盆に載せて徳利ととも席中に持ち出すようです。
一般的にお猪口と呼ばれるものより、
大きいサイズのものを指すようです。
■猪口(ちょこ/ちょく)
現在では徳利から酒を受け、
飲むのに用いる小さな器みたいですが、
徳利とセットで使うようになったのは、
江戸時代以後みたいです。
江戸時代では上方でも江戸でも、
宴の初めのうちは盃で酒を受け、
宴も半ばを過ぎ座がくだけてくると、
猪口に変えたそうです。
利き酒で使われる猪口は、
「利き猪口」と呼ばれるとか。
「懐石道具」に関するページは、こちらから。
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2月 09, 2015
徳利(とっくり/とくり)は、茶事にだされる懐石に用いる、
酒を入れて杯に注ぐための容器だそうです。
多くは口径が狭く、胴の膨らんだ背の高い形状の酒次みたいで、
強肴とともに石盃を添えて席中に持ち出すようです。
茶事において、焼物を出したあと、
亭主が水屋で相伴するため、
その間客同士が勧めあって、ゆっくり飲んでもらおうと、
詰の客に預けておく二合以上入るような大振りの徳利を
「預徳利(あずけどっくり)」というそうです。
注いだとき「トクトク」と音がするものが好まれ、
この意味では口が広すぎてはならないが、
一方で狭すぎては内容物がスムーズに出てこないため、
両者の兼ね合いから、小指が入る程度のものが適しているようです。
数え方は「一本」、または肩に下げて持ち歩いたことから
「一提(ひとさげ・いっちょう)」とも数えるみたいです。
■徳利の歴史と材質
酒器としては、鎌倉時代頃までは、
瓶子が使われていたそうですが、
注ぎ口が小さく酒を注ぐに不便な事から、
次第に徳利に代わっていったとか。
徳利は、室町時代中期からこの名がみられ、
かつては錫だったものが、のち陶磁となったようです。
陶製または金属製・ガラス製で、
内容量によって180mL~1800mL程度まであるとか。
なかでも、燗酒に用いる180mL~360mL程度のものが、
よく売られているみたいです。
徳利は、瓢箪形や辣韮形など、
祥瑞・呉須赤絵・粉引・三島・朝鮮唐津・九谷などが、
好まれるみたいです。
なお、利休形徳利は、錫のようです。
酒に限らず醤油・油など、液状のものを貯蔵するためには、
「醤油徳利」や「油徳利(あぶらとっくり)」があるそうです。
蕎麦店などでは、そばつゆを入れる徳利は、
「蕎麦徳利」というとか。
「懐石道具」に関するページは、こちらから。
「[酒器]徳利」について はコメントを受け付けていません :
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2月 08, 2015
盃台(さかずきだい)は、茶事にだされる懐石に用いる、
引盃を載せる台のことみたいです。
連客の数だけの引盃を積み重ねて載せ、
銚子と共に席中に持ち出すようです。
盃一枚用の場合もあるとか。
これは、亭主が持ち出す別盃や、
珍盃を載せて出すものみたいですが、
あまり使われることはなそうです。
大小複数の盃を一組にした盃を、
組盃(重ね盃)というようです。
一般的なものは三枚一組の三ツ組盃で、
盃台が付けられている場合が多いとか。
■盃台の形状
盃台は、形状は円形で高台が付き、
天目台に似ているそうですが、
高台には底があり、酸漿はごく低いことも、
全然ないこともあるとか。
高台内に底があるのは、
引盃の一番上に水を入れる向きがあり、
最後にそれを入れたり、
酒の「したみ」を入れるためだそうです。
■盃台の材質
盃と共塗か、盃が朱塗のときは、
多くは、黒塗を用いるようです。
一般的に用いられているのは、
黒塗で無地の利休形みたいです。
他に、溜塗や桑木地・黒楽・
青楽金入のものもあるそうで、
縁の形も円のほかに輪花・糸巻などもあるとか。
陶磁器の発達にともない、
やきものの盃台が現れるようになったそうです。
「懐石道具」に関するページは、こちらから。
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