仁清地紙草花茶碗 窪田常之(壱休窯)
扇面(せんめん)の中に、四季草花(しきそうか)を描いた茶碗からは、
源氏物語の六条院を連想させられます。
春の町は源氏と紫の上、明石の姫君が、
夏の町は花散里と夕霧が、
秋の町は秋好中宮が、
冬の町は明石の御方が、
それぞれ住んでいたそうです。
一碗の茶碗の中に、花と共にそれら女性の人生があり、
それは、雅びな平安宮中にあって、力強く生きた
少女達の思いが、伝わってくるようです。
扇面(せんめん)の中に、四季草花(しきそうか)を描いた茶碗からは、
源氏物語の六条院を連想させられます。
春の町は源氏と紫の上、明石の姫君が、
夏の町は花散里と夕霧が、
秋の町は秋好中宮が、
冬の町は明石の御方が、
それぞれ住んでいたそうです。
一碗の茶碗の中に、花と共にそれら女性の人生があり、
それは、雅びな平安宮中にあって、力強く生きた
少女達の思いが、伝わってくるようです。
山・水・松というと、
古今集・東歌の
「君をおきてあだし心を我がもたば末の松山波も越えなむ」
から取られた百人一首
「契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波こさじとは(清原元輔)」
が連想されます。
また、源氏物語「第十三帖明石」にも
「うらなくも思ひけるかな契りしを松より波は越えじものぞと」
などとあり、
これらを思うと悲しい恋心も伝わってきます。
古代文字で書かれた「五福駢臻(ごふくへんしん)」をモチーフに
「五福ならびいたる」(五福がそろって集まりますように)という
願いを込めた作品です。
みどころとしては、朱塗りと金の色の取り合わせがおめでたく、
文字をデザイン化し、左側に寄せたところが、芸術的に思います。
黄金比を意識しているのかもしれません。
亀井家の高取の水指、通常、上品で格調が高いので、
濃茶の上のお点前にも使えます。
一方、この高取水指は、華やかで若々しさを感じます。
大寄せの茶会など、どんどん使い込んで行くことで、
その価値があがることでしょう。
茶会のメインとしてこの水指はおすすめです。
釉薬が全面にかかっていることや、
肩の部分の丸みなど、
全体的に姿がおもしろいですね。
塗蓋の出来も良いように思います。
箱書は、鵬雲斎大宗匠のお若い時の字でしょうか。
一般的には、茶入に仕覆は一つですが、
三つ四つと持っている茶入もあります。
洋服で言えば、着替えを持っているということになります。
すごくお洒落と言えるのではないでしょうか。
緞子と金襴という違った切地を持っているため、
茶会によっては、違った使い道があると思います。
また、瀬戸茶入なので、幅広く使えます。
全体の姿も美しいです。
鵬雲斎大宗匠の箱書の字は、細いけれども力強い感じを受けます。
割合お若い時の字なのでしょうか。