点前道具一式を収納して持ち運びするための箱で、
籠形式の場合は茶籠(ちゃかご)と呼ぶそうです。
茶箱の素材は、木地・塗り物・蒟醤(きんま)など、
茶籠の素材は、籐・竹などを編んだもののようです。
茶籠の場合は、中に入れる道具を保護するため、
内張りか漆塗を施して用いるのだとか。
茶箱は、利休の頃には既にあったようで、表千家には、
利休所持の蒟醤(きんま)の茶箱が伝わっているみたいです。
久保長闇堂著『長闇堂記』に、
「茶弁当はと云ふは、是も利休初めての作なり。」
とあるそうです。
この「茶弁当」というのは、
桐材の箱に木目が見える様に黒漆を薄く塗ったものなんだとか。
江戸時代後半には、裏千家十一代の玄々斎が、
利休形の茶箱を元に茶箱点前を創案し、
玄々斎好の茶箱を作成しているみたいです。
■茶箱の点前
立花実山著『南方録』に以下の話があるようです。
茶箱の点前には二種類あります。
一つは野点の時に茶道具を組み入れておく茶箱で、
これは野点の扱いですみます。
もう一つは、人にお茶を贈る時に持参する茶箱(茶通箱)で、
前もって人に持たせてやることもあります。
中に濃茶と薄茶の両方を入れるか、
濃茶だけにするか、あるいは濃茶二種類にするか、
それは贈る人の気持ちしだいです。
濃茶を秘蔵の茶入に入れることもあれば、
唐物茶入に入れることもあり、
これも気持ちしだいです。
薄茶は棗や中次に入れます。
茶箱は桐製で、蓋には桟を打ちます。
緒はつけずに、白い紙縒で箱の真ん中をくくって封をします。
それには封の三刀という秘事があります。
茶箱の大小は茶入によって異なります。
茶箱の取り扱いや封の切り方は、決してもらさぬこと。
■茶箱の道具一覧
茶箱の道具としては、一般的に、以下のものがあるそうです。
道具名 | 備考 |
---|---|
茶巾筒 |
他の道具の水濡れを避けるために茶巾を収納する。 箱形のものもある。網袋に入れる場合がある。 茶巾筒に関する詳細はこちらから。 |
茶筅筒 |
茶筅を安定させるため、 また他の道具の水濡れを避けるために筒に収納する。 網袋に入れる場合がある。 茶筅筒に関する詳細はこちらから。 |
振出 |
振出に関する詳細はこちらから。 |
茶碗 |
茶碗に関する詳細はこちらから。 |
茶器 |
薄茶器に関する詳細はこちらから。 |
茶杓 |
茶杓に関する詳細はこちらから。 |
茶筅 |
茶筅に関する詳細はこちらから。 |
茶巾 |
茶巾に関する詳細はこちらから。 |
香合 |
点前で使用しない場合には省略される。 香合に関する詳細はこちらから。 |
建水 |
点前の際は茶箱には納めないが、 茶箱一式として組み込まれているものがある。 建水に関する詳細はこちらから。 |
また、上記以外にも、器据や和敬板の他、
三ッ組仕覆・
小羽箒・
火箸・
鶯針・
掛子など、点前により様々なものが入るようです。